第122話ドワーフ国家ドーラス王国3
何というか予想していた通りカティア達に話かける者がいた。
まあ、このまま客に対して放置では警備的にも礼儀的にも終わっている。
「はじめまして、他国のお客様。私はまあ、この国の外務大臣みたいなものです。本日はどのようなご用件で?」
なんでこの国は髭面のオッさんがこんなに多いのだろう。
それさえ無ければ素晴らしい国なのに…
カティアはそんな事を思いながら答える。
「私はカティアと言います。この国と友好的な関係を築く為にエルライド王国から来ました」
外務大臣の男はカティアを無視して、セリーに言った。
「これはこれは、遠いところからよくぞいらっしゃいました。最高位の応接室の準備ができています。どうぞこちらに」
ピキっ
セリーが隣にいたカティアにしかわからない程度の殺気…
マズイ…
「クソガキが、貴様ごときがカティア様のお言葉を…むぐっ」
カティアは言い終わらないうちに、セリーの口を物理的に塞いだ。
「大丈夫です。私は気にしてませんから。ラグア様の命令を忘れたのですか?」
カティアは言った。
極力戦闘は避けろ。
ラグアの命令だ。
「はっ、カティア様。申し訳ございません。取り乱してしまいました。罰はなんなりと…」
「大丈夫ですから少し黙っていて下さい!!」
「はっ」
ラグアはサポートと言う名目で、カティアの護衛にセリーを付けたがこれではただの足手まといだ。
カティアはまだ何もしていないうちから疲れてきた。
外務大臣の男は思う。
失敗した。
相手の上下関係を見誤るなど絶対にあってはならない。
エルライド王国は、13魔王を半壊に追い込んだ魔王ラグアが実質支配する国…
入ってくる情報はどれも噂の域を出ないが、かなりの実力主義らしい。
5王エルク・ドーラス様からはアンドロイドが鑑定失敗したのが2名いる。
カティアと名乗った彼女は鑑定に成功した者だ。
おそらく他の2人の付き人。
そう判断して青髪の女の方に話かけたのだが完全に失敗した。
これはマズイ、第一印象は最悪だ。
とりあえず謝ろう。
「先程は申し訳ございません。大変失礼しました」
応接室に案内して初っ端に盛大に土下座する。
「もういいですから。別に気にしてませんし」
「あら?カティアさんは優しいのね。さっきのは私もちょっとムッとしたわよ?」
城に入ってからセルナースがはじめて口を開いた。
セルナースは基本今回の件には口を出さないつもりらしいが、この話はその限りではらないらしい。
「セルナース様もありがとうございます。でも大丈夫ですから」
話がひと段落ついたところでセリーが言う。
「さて、では私達の自己紹介からしましょう。まず、私は四天王セリー、一応魔王、ラグア様の最高幹部の1人だ」
最高幹部?
かなり偉いんじゃ…
やはり自分は間違ってなかったんじゃ?
「そして貴様が無視したこのお方はエルライド王国国賓、特別王族であらせられるカティア様だ。そして隣がその担当の森神セルナースだ」
外務大臣は思考回路がショートした。
間違っても無視などしていい相手ではなかった。
「すっすぐに上の者を呼んでまっ参ります」
外務大臣は応接室から逃げ出した。




