第120話ドワーフ国家ドーラス王国
カティア、セルナース、セリーの3人はドワーフ国家ドーラス王国に来ていた。
ちなみカティアの遅刻の理由はただの寝坊である。
カティアは休暇中は魅力の魔眼を使いまくって完全に遊び続けていた。
おかげでまだ眠い。
だが、そんな眠気はこの国に入った瞬間吹き飛んだ。
そびえ立つ高層ビル群、完全に舗装された道路、その上を走る車が見た事もないような車種でなければ、道行く人々がドワーフと呼ばれる髭のダンディなおじさん達と小学校低学年くらいの合法ロリじゃなけば…。
ラグアの命令ではじめて来たが、この国は素晴らしい。
基本、この世界にはまともな娯楽はない。
今回の交渉はなんとしても成功させよう。
主に自分の為に。
カティアは珍しくやる気だった。
でもその前にホストクラブを見つけたので寄り道しよう。
やはりカティアはいつも通りだった。
〜1時間後〜
………あれはない。
何が悲しくて髭面のオッさんに囲まれながら飲まなくてはならないのだ。
これは交渉を成功させたら改革が必要だ。
カティア達はもはや要塞と化している城を目指す。
〜〜〜
この国ドワーフ国家ドーラス王国は鍛神ドムトルが生み出したドワーフと言う種族から成る国だ。
鍛神ドムトル自身は邪神エリローズと初代ラグア達の手にかかって殺されてしまったが、ドワーフと言う種族は少数ながら地下都市を作る事で神魔大戦を乗り越えていた。
それでも数億のドワーフが地下に逃れたのに対し、生き残りがたったの5人と言う結果になったのだが…。
生き残りの5人は大戦終了後にドワーフ国家ドーラス王国をおこした。
今この国にいる者は全て彼らの子孫である。
そして驚くべき事に生き残り5人は現在でも生き永らえている。
人工スキル…
科学の力で人工的にスキルを生み出す技術…
それは鍛神ドムトルが自分の死期を悟った時に自らが生み出した子供達に残したものだった。
無論、スキルを作り出すには相応の対価が要求されるがそれは今はいい。
彼らはその力で自らに固有スキル不老を会得させ現在まで生き永らえていた。
まあ、完全な国家機密なので知っているのは彼ら5人。
現在では5王と呼ばれるものに限られるのだが…
〜〜〜
完全に要塞と化した城の地下50階…
5王はそこに全員揃っていた。
ちなみにこの城は外から見えている上階の重要度はそこまで高くない。
逆に地下の重要度は高い。
地下1階〜10階までは警備エリア。
幾十もの警備システム、大量の警備兵の配置。
文字通りネズミ一匹入る隙間もない。
地下11階〜20階までは一般公開研究所。
ここも国家機密ではあるが、一般国民にもあるていど公開されている研究エリアである。
地下21階〜地下30階は最重要警備エリアだ。
ここには警備兵はいない。
そのかわりにいるのは王級スキルを付与したアンドロイドの軍団だ。
指令権は5王のみである。
彼らの技術は数百万年の時を経て王級スキルを生み出すまでは成功していた。
ただ未だ生物に付与できるのは固有スキルまでだ。
途方もない数の人体実験を繰り返したが、未だ王級スキルを付与すると被験者の体が壊れてしまう。
王級スキルとは才能。
才のないものは一生かかっても辿りつく事はできない。
この国で一番試して成功する可能性が高いのは5王自身だが、そんな博打に出るような真似は彼らはしない。
地下31階〜40階は最重要研究エリアだ。
ここには入れるのは5王、それから実験体のみだ。
地下41階〜49階は5王の居住エリアだ。
使用人1人いない空間だが、彼らが作り出したアンドロイドがいるので何も問題ない。
地下50階、大会議場…
ワンフロア丸々使った広大な空間に殺風景に並ぶ円卓と豪華な作りの5つの椅子。
「さて、皆わざわざ呼び出してすまなかった。城内に魔王ラグアの配下達がきている。どう対応すべきか儂は迷っている。皆はどうしたらいいと思う?」
5王のリーダー格、ダスカー・ドーラスはそう口を開いた。