第109話幹部候補生2
今回は基本シュドレ視点です。
閑話と迷いましたが本編にしました。
グレスはシュドレにそう言った。
「ああ、よろしくな。俺はシュドレ・イロード。こっちはバルダとシャリー」
シュドレは自分と仲間達を紹介しながら、神託で鑑定する。
…なるほど鑑定スキル持ちか。
おそらくバルダやシャリーの鑑定はなんとかできたみたいだが、王級の自分に対する鑑定はほとんど見えなかったのだろう。
ちなみにシュドレの神託を使った鑑定は相手が自分より格上だろうがステータスは普通に見える。
それは神の力、ゼギウスの力による鑑定だからだ。
無論、ゼギウスより格上の神のステータスは見る事ができないがまだその様な者にはシュドレは会った事がなかった。
互いの紹介も終わりシュドレは情報を集めようと口を開く。
ちなみに鑑定で見えたグレスのレベルは50そこそこ。
シュドレの敵ではない。
「俺は来たばかりで何もわからないんだが、ラグア様の配下の組織構成について少し教えてくれないか?」
父親の仇であるラグアに敬称をつけるなど反吐が出そうだが、これはさすがに仕方がない。
「ああ、そうだな。まず総勢1000万とも言われるラグア様の配下。そのうち幹部候補生はわずか400人。それが俺達だ。ここにいるのは4分の1ぐらいか。この組織は小隊長とは言え少し特殊でな。1つの小隊の構成員は2〜3万。つまり俺達の権限はけっこう強い。ここまでいいか?」
国である以上国民はけっこういるのはわかっていたが、ラグアの配下組織がここまで巨大とは…
「ああ」
シュドレは相槌を打った。
「その上の中隊長。ここからは幹部だな。それぞれが10人の小隊長を指揮する権限を持っていてこれが大体40人。更にその上、2人の中隊長を指揮する権限を持っている大隊長が20人。」
大隊長?
おそらくラグアの側近には程遠いだろう。
ダメだ。
気が遠くなりそうだ。
シュドレはそう思った。
「更にその上の副官、ここだとエミリー様がその階級だ。これは全部で4人いる。それぞれ四天王配下では最高位の方々だ」
四天王?
エミリーの上にはそんなのがいるのか。
やはりエミリーは側近ではなかったか。
「その上に四天王直属の特別幹部と言うのがいるが、それはかなりの手柄をたてた幹部がなれるみたいだな。今のところ1人しかいないがお前ならいつかなれるかもな。ああ、話が逸れた。それぞれの四天王はラグア様の配下を4つに分けてそれぞれの配下にしている。俺達のトップは四天王ライナー様だ。お前もさっき貰ったその剣のエンブレムがライナー様の配下の証だ」
シュドレの胸には剣を象った銀のエンブレムが光っている。
特別幹部…
四天王…
いつになったらラグアに辿りつくのだろう。
これは計画をかなり下方修正しなければいけないかも知れない。
シュドレは考えた。
「四天王、つまり最高幹部の4人はラグア様や統括であり、実質的なこの組織のナンバー2であるエリス様から直接命令を受ける。まあ、ラグア様と直接話せるのは最高幹部とエリス様ぐらいだな。その上、この組織のトップはもちろん魔王ラグア様だ。他にはエミリー様と階級は同格で参謀、広報、広報支援、医療、物資、政治関係、直接戦闘に関わらない幹部もいたり、客分としてこの城にいるラグア様と対等の関係を築いている者もいるが、ここは説明すると長いから省くぞ?とにかくこの組織を大まかに説明するとこんな感じだな」
シュドレは思う。
ラグアの側近になる為には最高幹部にならなければならない。
まずは手柄を立てて幹部を目指すか。
ラグアまでの道のりがどんなに遠くてもアイツだけは必ず殺す。
父さんの墓前にそう誓ったのだから…




