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第88話テオレームVSリリス


俺の名はテオレーム・クリムゾン。

エリローズ様の忠実なる下僕だ。

現在、俺は天界と地上の狭間にいる。

何故こんなところにいるかと言うと魔王リリス・ヘヴンを探し出して消せと言う、エリローズ様の命令だからだ。


リリスは堕天使だ。

彼女は既に天界を追われた身、ここまでしか上がる事ができない。

通常の天使達と堕天魔王リリス・ヘヴンの力は地上ならリリスの方が遥かに上だが、天界では天使としての加護を受けていないリリスの力は大幅に弱体化するし、逆に天使達の力は10倍以上に跳ね上がる。

しかも多勢に無勢だ。

リリスに勝ち目はない。

つまりリリスが入れるのはここまでだ。

それに神の力を使った索敵の反応もこの場所を示している。

この近くにいる。

索敵の範囲をより精密にする為に狭める。


見つけた。

雲の間で完全に景色と同化しているが、これで神である俺から逃れられるとでも思っているのだろうか?

舐められたものだ。


俺はあいさつがわりに帝級スキル、雷帝のライトニングバーストを威力を最小限の威力で放つ。


「!?っぐぎゃぁぁぁぁぁっ」


仮にも女が出してはいけない様な悲鳴がこだまする。

雲の中からところどころ黒こげになったリリスが現れた。

体自体は既に再生している様だ。

おそらく俺の気配を感じてから急いで隠れたのだろう。

暗黒王はまだ発動していない。


「………テオレーム様。」


リリスは呟いた。


「それなりの期間付き合ってきたはずだが、まともに話すのははじめてだな。俺はテオレーム。亜神テオレーム・クリムゾンだ。」


俺は言った。

13魔王に所属していた以上、顔見知りではある。

だが、自分が同格と認めているのは上位3魔王だけだ。

100歩譲って発言権を認めているのは、ミュラ達第二世代の魔王達だ。

それ以外のコロコロ変わる有象無象共とは会話をする価値すらない。

今までそう思っていた。

だが、2代目ラグアと出会って少し考えが変わった。

17年…。

それは数十億年の長い長い時を生きている自分にとっては瞬く間の時間だった。

いくらエリローズ様の加護を持っているとは言えたったそれだけの時間で神にまで上り詰めた存在。

死と隣り合わせの極限の中で生きなければあそこまでにはなれない。

彼を見ていると自分などまだまだだと思い知る。

今の自分にかつての驕りなど存在しない。

あるのは現時点で自分より上か下かそれだけだ。

目の前のリリスはまだまだ矮小な存在だ。

だが、いつラグアの様に化けるかわからない。

そして化けた時には必ずエリローズ様の障害となるだろう。

正直、ラグアにリリスを消せと言われた時には難色を示したが、エリローズ様の命令がなくてもいずれヤツは消すつもりだった。

エリローズ様の思い描く未来に何が待っているのかは自分にはわからない。

だが、あの方のする事は全て正しい。

その為に障害となる可能性がほんの少しでもあるものは自分が排除する。

それが俺の使命なのだから。


「テオレーム様、私は…」


リリスが言い終わらないうちに、ライトニングバーストを叩きこむ。

今度は威力を抑えてはいない。

それだけでリリスは跡形もなく消滅する。

神級スキルを使うまでもなかった。


これでエリローズ様の夢にまた一歩近づいた。

テオレームはほくそ笑むのだった。


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