after81神星帝争奪戦(裏)7
「あっちも片付いたみたいだから、そろそろ撤退かな?」
テラの神格エネルギーが完全に消滅したのを確認したミオンは呟いた。
その直後にゲオンが転移してくる。
「こっちは終わったぜ?姉貴の方もとっくに片付いたみたいだな?」
すでにこの宇宙の最高神とその配下…
そしてこの宇宙を支配する永天の孫は撃破した。
もうここに用はない。
「まあ、苦戦するような危ない橋は渡ってないからね?」
ミオンは答えた。
さすがに自分たちがこんな末端の雑魚共に負けるというのは、ありえない。
本来なら自分たちはもっと強い宇宙を潰してもよいのだ。
だが、それはしない。
万が一、多少なりとも手こずって、イグロシアル本国にいる化け物の一体とでも相対してしまえば、自分たちは確実に終わるのだ。
「なあ姉貴?このペースならもう一個ぐらいいかねーか?」
ゲオンは切り出すとミオンに直接思念を送った。
どうやらミオンに提案する前にもう候補は絞ってあるようだ。
「…ずいぶん遠くない?」
ミオンは訝しげな表情をしながら答えた。
ゲオンが提案してきた宇宙は時間軸、空間軸共にかなりの距離がある。
「だが、よく見てみろよ?ここといい勝負ぐらいの戦力しかいなくねーか?」
感じる神格エネルギーは成り立てオリジンゴッドと、中級神が2体と下級神が10体ほど…
むしろここより弱いかも知れない…
距離だけが少し気になるが、転移を使えば移動自体には時間などかからない。
「そうだね。ここらで父上に手がらを見せておいた方がこの先動きやすく…」
そこまで言いかけた時だ。
ミオンは唐突に嫌な予感がした。
「…姉貴?」
ゲオンは不思議そうな顔をしている。
この感じは何?
この程度の宇宙に一体なんの危機感を覚えた?
どう考えても負けるわけも、援軍が来るまで長引くこともありえない。
なのに…
ミオンはその考えを振り払った。
「…いいよ。行こうか。幸い神星帝争奪戦の影響でどこの宇宙も警備は手薄のはず。こんな明らかに末端の宇宙にさけるイグロシアル本国の戦力なんているはずがないし」
ミオンとゲオンの姉弟は次の目的地を決めると転移する…
だが、ミオンはすぐに気づくことになる…
その嫌な予感があたっていたことに…




