after77神星帝争奪戦(裏)3
〜現在〜
ミオンはもはや勝敗のついた球体の映像から興味をなくすと、そのまま踵を返す。
その意味を悟ってか、ゲオンも立ち上がる。
「…別にあんたまで行かなくていいでしょ?」
そんなゲオンの気配を背後に感じたミオンは言った。
「つれねーこと言うなよ?ここにいても暇なだけだぜ?姉貴1人で暴れてくるなんて、許すわけねーだろ?」
「…神星帝争奪戦の様子も見ててほしいんだけど?」
「そんなの配下に任せとけばいいだろ?」
ゲオンのその言葉のあと、ミオンは一瞬だけ考える素振りを見せるが、遂にはため息をひとつついて折れた。
「…足引っ張ったら二度と連れていかないよ?」
「俺が劣化アメーバごときに遅れをとるわけねーだろ?」
そんなやりとりのあと、二人は動き出す…
二人の目的は単純だ。
神星帝争奪戦で警戒が薄くなった永天支配下の宇宙を落とすことだ。
もっとも、神星帝争奪戦前もここまで派手に動かずとも、すでに数十の宇宙を落としているが…
ずさんな管理のサーリーナ…
様々な理由で動かないイグロシアル上層部…
これが数十の宇宙を落としても今日までなんの反応もなかった理由である。
さすがに証拠…
つまりは生き証人を残すような真似は二人もしないが…
二人はそのまま目的の宇宙に向けて転移する…
〜
ミオンたちの予測通り警備は完全にガバガバである。
「父上もたまには来ればいいのにな?拠点に引きこもってばかりじゃ、ストレスたまるばっかだぜ?」
「拠点宇宙の神界とリンクしちゃってるんだからそうもいかないでしょ?デメリットもあるけど、実際のところメリットの方がでかいしね?そもそも父上が最高神にならなかったら、今でもあの宇宙から…」
「…わかってるよ。言ってみただけだよ」
ゲオンはミオンが言い終わらないうちに答えた。
〜
彼女たちの父、レオン・ガルオンはマリアによって最初に飛ばされた宇宙の最高神である。
正確には、辺境の宇宙…
誕生してまだそれほど経っていない最高神を激闘の末に撃破したのだ。
そう。
最高神にいきつくまでに数多の最高神の配下を、倒したとはいえ、レオンの実力でも勝つことができたのだ。
だが逆に言えばそれはつまり、辺境宇宙の最高神の実力は、オリジンゴッドの中では最弱クラスと言えた。
そして、レオンはラグアが持っていた神級スキル…
つまりは宇宙間の移動に適したものを当時持ってはいなかった。
レオンたちが他の宇宙に侵攻するには、デメリットをおいても、最高神にならざるおえなかったのだ。
次回更新はお盆が多忙により、8月21日を予定しております。
かなり間が空いてしまい、申し訳ございませんがよろしくお願いします。




