after70神星帝争奪戦52
セシルに先頭のプロトクローンが襲いかかる…
セシルはそれを最小限の動きで回避すると、王級スキル、魔導王で作り出した、魔力の刃でプロトクローンの首を跳ねる…
さらに次々とプロトクローンたちがセシルへと襲いかかるが、セシルの動きは他のプロトクローンたちの動きとは次元が違った。
致命傷から浅い傷まで…
ダメージを受けるのは、セシルではなく、ミリーが呼び出したプロトクローンたちだ。
「…ミリー様、それはいくらなんでも笑止ですよ。能力が同じなら、私と互角とお思いでしょうか?生まれてから対してたっていない有象無象と、プロトクローンとしてはじめてラグア様より名を授かった私とが…」
セシルの動きはとっくに王級の範疇を逸脱していた。
帝級スキルこそないだけで、その力は帝級にすら匹敵する…
そんなセシルにとって、同じプロトクローンと言えども、赤子も同然だった。
だが、ミリーはその光景を目の当たりにして、頭の血が引き、逆に冷静になる。
王級スキルのみで、ここまでやるのはさすがと言うべきか。
だが逆に言えば、ヤツはゴッズクローンではないのか?
今後の展開のため、力を隠している可能性は十分にあるが…
ならば、これで見極める…
「見事だ。だが、代わりはいくらでもいるぞ?」
ミリーは言いながら新たにプロトクローンを大量召喚する。
いくら召喚しても先程と同じことに…
にはならない。
ミリーは今回は大量召喚したプロトクローンに、かなりの数の地雷クローンと媒介クローンを混ぜたのだ。
先程と同じように戦えば、概念爆発で吹き飛ぶのはセシルだ。
再びプロトクローン…正確にはプロトクローンと、地雷クローン、媒介クローンの混成軍団がセシルに殺到する。
格下相手に騙し討ちか…
こういうのが、コイツにカリスマ性が生まれない理由だ。
だが、わかっていようとこれは、こちらも手札を出さずに切り抜けるのは無理だ。
セシルはここで手札を切る。
その瞬間だ。
プロトクローン、地雷クローン、媒介クローンの混成軍団が一瞬で木っ端微塵に打ち砕かれる…
すぐに地雷クローンの概念の嵐が吹き荒れるが、セシルは次の瞬間には既に試合場上空にいた…
つまりは地雷クローンの自動概念発動前に、瞬間移動で逃れたのだ。
それはオリジンゴッドであるミリーの目にも見えないほどの出来事だった。
『…セリーナ?見えたか?』
ミリーは神通で自分の腹心に確認する…
『いえ、ほんの一瞬白い影が見えたような気がしないでもありませんが、ほとんどわかりませんでした…申し訳ございません…』
セリーナは申し訳なさそうにそう言ったが、おかげでだいたいカラクリはわかった。
そして、それは…
偉大なる父上の分体はアイツごときが決して使っていいものではないことも…




