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after59神星帝争奪戦41


「それでは試合開始っ!!」


ジェシカの号令が響くが、2人は動かない。

もっとも両者が動かない理由は全く違うが…


勝ち目が薄いローゼンだったが、完全に試合を諦めたわけではない。

これまで一歩も動くことなく、勝利をおさめてきたローゼン…

それは裏を返せばカウンターが得意ということだ。

明らかに格上の相手に、自ら攻めて勝てると思っているほど、自分の実力を過信してはいなかった。


対するフィリアが動かない理由は単純だ。


「…フィリア様。こないのですか?」


「まあまあ、そう慌てないでさ?実戦なんて、本当に久しぶりすぎてやりすぎてすぐに終わっちゃうかもしれないじゃん?」


「………」


なめているとは言わない…

この女…惑星国家イグロシアル、最高幹部、四天王、フィリア・アースは古くから偉大なるお祖父様に仕え、永天神話を隣で支えてきた者の一人だ。


ローゼンは警戒を崩さない。


「つれないなー。そんな怖い顔してさー?まあいいや。じゃー、かるーくいくよ?」


その瞬間だった。

フィリアの姿が一瞬にして消え失せ、次の瞬間にはもはや目の前まで移動していた。


ローゼンは慌てて体を捻る。

一瞬前までローゼンがいた場所には、フィリアの手刀が貫いていた。


フィリアは口元に笑みを浮かべる。


「へぇ?さすがはラグア様の血をひくだけのことはあるねー?」


言いながらフィリアは一度外した手刀をそのまま横なぎに振るう…


無理な体勢からも、さすがはカウンターを得意とするローゼンだ。

なんとか躱すことに成功する。


フィリアが手刀を振るった方向はありえない斬撃が発生し、その方向に向かってえげつないレベルの破壊を撒き散らす…


フィリアの攻撃はさらに続く…




フィリアの攻撃をなんとか躱し続けているうちに、ローゼンはあることに気づく。


完全に遊ばれていることに…


カウンターを得意とするローゼンにはわかる…


フィリアはまだ実力の半分どころか、1割もだしていない。

もっとも最低でも1割以下というだけで、どれだけ手を抜いているのかはわからないが…


にもかかわらず、自分は躱すのに精一杯でカウンターを打つ余裕すらない。


そもそも元々の自力が違い過ぎるのだ。


ラグア様…フィリア様は偉大なるお祖父様のことを簡潔にそう呼んだ。

そう。

ライナー様、セリー様に次いで偉大なるお祖父様の配下になった順が早いのは彼女とその妹なのだ…


それが全てなのだ。

はじめから勝てるわけなどない。


「つまんないなー。これだから今の若い子はさー?もうちょっと頑張りなよ?」



その後、ローゼンはフィリアの肩慣らしに1時間ほど付き合わされたあげく、あっさりとその神格エネルギーを散らすのだった。

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