after58神星帝争奪戦40
ラウラとライナーがそんな親子の会話を楽しんでいる頃…
会場では次の試合がはじまろうとしていた。
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「それでは、第五試合の紹介をはじめますっ!!まずは第三星帝フェルゼン・オルガット・イグロシアル様の子にして、準星帝っ!!予選では一歩も動くことなく、全ての相手を沈めてきました。彼の力は偉大なるイグロシアルの頂点に認められた推薦枠にも通用するのかっ!?準星帝っ、ローゼン・オルガット・シアル様っ!!」
ジェシカの高らかな紹介のあとに続き、ゆっくりとローゼンが現れる。
ローゼンはつま先を床から1センチ程浮かせた状態のまま、まるで床を滑るように試合会場を進み出る…
そんな一風変わった入場をしたローゼンだが、顔には緊張の色が浮かんでいるのは仕方のないことだ。
イグロシアル上層部の推薦枠は実力差こそあれ、弱いものなど1人たりともいなかった。
「対するは…」
ジェシカの次の言葉をローゼン…そして観客たちが固唾を呑んで聞く…
「星王バルト・シアンズ様推薦っ!!セリー様がいて、他の方々がいないとお思いでしょうか?そんなわけはございませんっ!!古くから偉大なる永天様に仕えたその崇高なる忠誠心は、ゴッズクローンと化した今でも変わりません。今までも…そしてこれからも…惑星国家イグロシアル、最高幹部、四天王っ!!フィリア・アース様っ!!」
観客たちが歓声をあげると同時にローゼンは眉間を抑える。
頭痛がするのも無理はない。
完全なるハズレの部類だ。
その瞬間だ。
上空から…まるで最初から試合会場の真上にいたかのように、フィリアがゆっくりと…
妖精族特有の羽を羽ばたかせながら降りてくる…
ゴッズクローン…それ以前に神と化してからかなりの年月が経過しているフィリアは羽などなくても、空からゆっくり降りることなど簡単だ。
そんなものは神になりたての下級神や、一部の王級や帝級クラスでもできる。
つまり、フィリアが何がしたいのか…
単なる演出である。
「やあ、ローゼンだっけ?お前が私の相手だね。平和な時代になって、もう実戦なんかしばらくしてないよ。久々に楽しませてくれるよね?」
ピンク色の髪をなびかせながらフィリアの足が完全に試合場についた。
その獰猛な笑みは遥か昔、アルムスで恐れられた魔王の一角…妖精魔王フィリア・アースの再来を思わせるには十分すぎた…




