after54神星帝争奪戦36
「両者、試合開始っ!!」
ジェシカのその言葉で試合ははじまる…
先に仕掛けたのは、ホーリンの方だ。
ホーリンの親は一桁台ではないとはいえ、準星帝ではなく、星帝だ。
そして、そんな星帝の子たちの中でもホーリンはかなりの実力者だ。
その実力はホーリン自身だけ見ても初期オリジンゴッドよりも上だ。
まあだからこそ、予選を突破することができたのだが…
〜
フェイントをかけながら神格エネルギーに任せて攻撃を仕掛けるホーリンをラウラは最低限の体捌きで躱す…
「パワー馬鹿かよ…」
ホーリンのさらなる追撃をまるで、芸術のような体捌きで躱しながらラウラは呟いた。
力もスピードもホーリンの方が上だ。
にも関わらず、一発も当たらないのは、ラウラの飛び抜けた戦闘センス…
ライナー譲りのそれがあってのものだった。
体捌きだけでホーリンの猛攻を躱しつつ、ここでラウラは腰に2本挿している剣の一本に手をかける。
「っ!?」
ホーリンはラウラのその動作を見るなり、思い切り後ろに飛び退いて距離をとる。
ライナーの剣技は有名だ。
曰く、大抵の相手は剣が抜き放たれた瞬間にバラバラになっているという…
もっとも目の前の少女にそこまでの力があるかはわからないが…
ホーリンは距離をとりながら千手観音モードを展開させよたいとする。
お祖父様が愛用したこの技は、手数、そして、遠距離からの一方的な攻撃を可能にする。
ホーリンが千手観音モードを展開しはじめた時だ。
「ビビってんの?こんな幼気な少女相手にさ?」
「黙りなよ。実年齢は少女じゃないよね?…お互いにそれなりの歳だよね?」
ホーリンはラウラの挑発にそう答えながら、完全に千手観音モードを展開することに成功する。
余談だが、ライナーに英才教育を受けたラウラはもちろん固有スキル、不労持ちだ。
もっとも現在はオリジンゴッドの域に至っているラウラにはそんなものは関係ないが。
「…女の子に歳の話をするなんてありえないよ」
その瞬間だった。
ラウラの動きが変わる…
ホーリンは慌てて触手による連続攻撃を繰り出すが、ラウラは触手の隙間を縫うように立体機動を描きながら、ホーリン本体に少しずつ近づく…
「概念、光天っ!!」
ここでついにホーリンは切り札の概念を発動させる…
千手観音モードの隙間を狙って放たれる…
屈折を繰り返しながら内部を焼き尽くさんとするそれは、まるで光の檻だ。
だが…
「…これでも当たらないって…性格はライナー様に似ても似つかないけど、本当にライナー様の娘なんだね…君…」
触手と光の地獄の中を、恐ろしい動きで駆け回るラウラがいた。
ラウラはここでついに2本の剣を両手で同時に引き抜いた。




