after46神星帝争奪戦28
「…もしやと思っていましたが、やはり…リーザ様は他人の考えが読めるのですね。私の方が神格エネルギーが上な以上、読心では無いようですが…」
ミュンのその言葉をリーザはスキルで観客たちに聞こえないようにしながら笑みを浮かべる…
「ご名答だよ。リーザのこの力は偉大なる永星帝、リーゼ・エルライド・イグロシアル様が、他でもないリーザのお母様だっていう…親子の証だ。そう。リーザは選ばれし者…。お前とはそもそも生まれた時から、住む世界が違うんだよ?この際だ。好きに言いなよ?別に立場は気にしなくていいよ?この会話はリーザとお前以外には聞こえないようにしたしさ?」
その瞬間、ミュンの瞳は殺気だつが、言葉には出ない。
「ふふっ、滑稽…煽ってもリーザに言い返す勇気すらないか。さすがはゴミだね。なら、そのまま死になよ?」
ミュンはリーザの次の動作に備えて構えるが、リーザの次の手はミュンの予想の斜め上をいくものだった。
リーザは天刃の概念をやたらめったらめちゃくちゃにまき散らしたのだ。
それはミュンを狙ったものではない。
ミュンは意味がわからなかった。
そうしている間にもリーザは次々と天刃の概念を撒き続ける…
目的はわからないが、このままではマズイのはわかる。
神格エネルギーは現段階では自分の方が上だが、何もしないわけにはいかない。
ミュンは体内に同化しているゴッズウェポンの力で闇の衣を纏いながらリーザへと迫る。
だが…
「残念、もう手遅れなんだよね」
リーザがそう言った瞬間だった。
四方八方に撒き散らしたリーザの天刃の概念はまるで統率された軍隊のように、意思をもってミュンに襲いかかる。
「ダメだよ?優柔不断なヤツは?そんなんだから本来勝てて当たり前のリーザごときに敗北することになるんだよ?」
天刃の概念は最初はミュンの闇の衣に弾かれてリーザへの攻撃を妨害するだけに留まっていたが、まるで狙い済ましたかのように、同じ箇所に何発も天刃の概念を受けた闇の衣はついには壊れる…
そして…
〜
リーザの天刃の概念がなくなる頃には、無傷で立っているリーザ…
そして完全に虫の息のミュンの姿があった。
「ぐっ…こ…ぐはっ!?」
「いい戦いをありがとう。ミュン、お前の心、リーザに伝わったよ?お前の想いもリーザが繋いでいくからね?」
最後にミュンが言いかけた言葉を言わせないまま、リーザはミュンの神格炉を完全に破壊した。
観客からは歓声が沸く…
だが、リーザ本人の頭はすでに別のことを考えていた。
運良くゴミにあたったおかげで大量の神格エネルギーといくつかの新たな獲得概念は得られた…
だが、次は相手が相手だ。
勝てるだろうか?
いや、勝つんだ。
勝ってお母様の期待に応えるんだ。
舞台を降りるリーザには、すでに崩壊しているミュンのことなど、どうでもいいことであった。




