after45神星帝争奪戦27
「!?っ」
目の前のリーザの姿がいきなり天刃の刃に変わったことにミュンは驚愕する…
「まっ!?間に合えっ!!」
だが、ミュンもさすがと言うべきか、すぐにリーザに対する攻撃に急ブレーキをかけると、後ろに思い切り退く…
小さな概念が、ミュンにぶつかりダメージを負うが、そんなこと構っていられない。
あれを食らったら…あんな一点に集中させた概念の塊を食らえば、いくら神格エネルギーの差が開いていようが、少なくないダメージを…下手をすれば致命傷になりかねない。
巨大な天刃はミュンを追ってさらに進む…
ミュンはさらに逃げる…
またもや細かい天刃がミュンを切り裂くが、ミュンは構わず逃げ続ける…
ミュンは本来ならここで気づくべきだった。
だが、予想外の事態にパニックに陥っていたミュンは気づくことができなかった。
リーザの本当の狙いに…
よく考えて見てほしい…
ミュンが巨大な天刃の概念を見て、退くまでは予測されていても仕方がない。
ただ、そのあとに逃げる方向に細かい天刃の概念が仕掛けられているのは、どう考えてもおかしい。
まるで、巨大な天刃の概念はフェイクでミュンが退く方向をはじめから知っているかのように…
おかしい点は他にもある。
目の前の巨大な天刃の塊がリーザのトラップならば、リーザ本体は一体どこに消えたのだ?
答えは一つ。
巨大な天刃の概念は、ミュンを狙ったトラップなどではなく、形状変化とスキルによって誤魔化したリーザ自身なのだ。
〜
パニックになったミュンがその事実に気づいたのは、しばらくあとだ。
正確にはある程度パニックから落ち着き、リーザの本体を探そうとしたことが気づくことに至ったのだ。
ミュンは逃げるのをやめ、その場で静止する。
感情を読む力でミュンの意図を、ある程度理解したリーザは巨大な天刃の概念と化していた身体を元の少女の姿に戻す…
「……………」
そんなリーザをミュンは睨みつける…
一連のやり取りで神格エネルギーの差はかなり縮まってしまった。
頭脳戦といえば聞こえはいいが、先読みと演算…さらには思考を読むことで、まともな抵抗すらさせないままハメ殺す…
やられている方からすればたまったものではない。
そんな、リーゼの最低最悪な戦略戦闘は遺伝子を伝わり、しっかりとリーザにも継承されていた…
「やだなー。そんな怖い顔しないの?汚い?そうだよ。これがリーザのやり方なんだからさ?」
観客に聞こえないように注意しながらリーザは言ったのだった。