after38神星帝争奪戦20
それからの観光は完全に俺かリーゼのどちらかがミグに対して目を光らせている状態だった。
平時ならまだしも、全宇宙を上げたお祭り騒ぎでのこのバカの行動はさすがに目にあまる…
ちなみに平時の場合は権力と武力行使でバカの行動ぐらいは、いくらでも揉み消すのは可能だ。
だが、この神星帝争奪戦に至ってはそういうわけにはいかない。
ミリーのおかげで失墜してる神星帝の支持率がイグロシアル上層部にまで及んだらそれこそ本末転倒だ。
仮に反乱が起きても、今の俺はその気になれば、全宇宙を相手にしたところで、敵なしではあるが、恐怖政治はあまりよろしくない。
永遠の生命を手に入れた俺たちとは違い、一般の生物たちの寿命は短い…
世代は変わる…
そして世代が変われば、恐怖を目の当たりにしていないバカ共からまた反乱の種は生まれる…
悪循環である。
俺はそんなことを考えながら、観光を楽し…これって楽しんでるうちに入るのか?
俺は思った。
〜
〜数週間後〜
さて、今日もどうせ暇な試合の連続だ。
また適当に観光でもしてくるか。
幸い、さすがは全宇宙をあげてのお祭りと言うべきか…
これだけ毎日遊び続けても飽きることはない程数多の催しの目白押しだ。
俺はイグロシアル観覧席の自分の特設室で、行儀悪く机に足を投げ出しながら、そんなことを考えていた時だ。
部屋にノックの音がする…
「エリス。入っていいぞ?」
俺は気配だけで扉に目すら送らずに言った。
「はっ、失礼します」
エリスは部屋に入るとそのまま俺の前に跪く…
「ラグア様、本戦の出場者が出揃いました。これより本戦を開始致します。そのご報告に参りました」
俺は完全にダレ切っていた思考をシャットアウトすると、今度はしっかりとエリスに目を向ける。
「やっとか。暇つぶしの観光も悪くなかったが、やっぱりこっちがメインだよな?」
興味を持った俺にエリスは一枚の紙を差し出す…
俺は24名の予選を突破した出場者…
そして、俺達…イグロシアルから推薦した同じく24名の推薦枠の出場者の対戦表に目を通す…
そして…
「まあ、予選から上がってきた連中が優勝するのは、たぶん無理だが、推薦枠の中じゃ比較的弱い方の連中とは勝負になりそうなヤツは……まあ、いるか…いいぞ?このままはじめろ」
「はっ、失礼致します」
エリスは対戦表を一部俺の机に置いていくと、そのまま部屋を退室する。
こうしてついに、神星帝争奪戦の本戦がはじまろうとしていた…




