after30神星帝争奪戦12
「…ティナを本戦に?それは今やっている祭りの話か?」
「そうだよ。ちょうどパパの推薦枠が空いてるしさ?事後承諾でもリーゼが言えばパパはOKするだろうしね?」
「ティナちゃんを本戦に…ってどういうつもりかな?もちろん理由があるんだよね?オルメスとティナちゃんの最強コンビをあんなえげつない先読みで完封したお前にはもちろんね?」
ティナは会話に割って入った。
そんなティナにリーゼは薄く笑う。
「ふふふっ、当然だよ。まずエルミナの引退に伴ってこのままオルメテウスを四宙天のトップに据えるのは簡単だよ。他の四宙天…ミーラル、サーリーナ、メフストニブルの三名はみんなアラウザルゴッドとして君臨していた頃のオルメテウスを知っている。同じ理由でイグロシアルの面々からも一切の反対意見は出ないだろう。でもさ?逆に考えて見て?オルメテウスが死んでから生まれた連中…つまりはオルメテウスを知らない連中から見たらどう思うかな?ポッと出のわけのわからないヤツがいきなり四宙天なんていう、神星帝に事実上匹敵するような立場についたらさ?もちろん面と向かって反対意見なんか出ないだろうけどさ?」
長い言葉をリーゼは言い切った。
オルメテウスの目指すのは全宇宙の平和…
永天ラグア・エルライド・イグロシアルの名の下、多少の小競り合いはあれどそれは維持されている。
だが、それは逆にオルメテウスの力を知らしめる機会がないということに他ならない。
ティナの本戦出場にはそんな意図があった。
「…だったらティナちゃんが出なくても…言われなくてもティナちゃんは、オルメスの夢を壊そうとするヤツは許さない…」
「ティナ、それでは本末転倒だ。白天が作った一応の平和を私達の手で自ら壊してどうする?」
「…オルメス……」
オルメテウスの言葉にティナは押し黙る。
リーゼに従うのは、癪だが、どちらが正解かはわかっているようだ。
「まあ、リーゼからはそんなところかな?一応、次の神星帝に問題ない連中が勝ち上がったら棄権してもらっても構わないけど、なんならティナが神星帝をやってもいいよ?…全宇宙をまとめるにはオルメテウスもその方がやりやすいかも知れないしね?」
リーゼはオルメテウスに視線を送ると言った。
「…ティナを本戦には出そう。棄権については保留だ。これでいいか?」
「オッケー。そっちは任せるよ。じゃー、話は終わったしリーゼは行くよ。あとは二人で相談して決めるといいよ」
オルメテウスの言葉にリーゼはそう返すと、ラグア達が待つ場所に向けて再び転移するのだった。




