after17眠鬼再臨3
「それは…」
言いかけたリーゼを俺は手で制す。
「待て。これは俺が言う。なあ?オルメテウス?昔お前確か言ったよな?俺とは分かり合えないってよ?」
「その通りだ。お前と私では求めているものが違いすぎる…」
俺の言葉にオルメテウスは答えた。
そこで俺は指をパチリと鳴らす…
その瞬間だ。
俺の血族達に支配された全宇宙の映像が映し出される…
「見ての通りだ。お前の描いた理想郷とは違うかも知れないが、今の全宇宙は平和そのものだ。まあ、屍の上の理想郷だがな?」
「………」
オルメテウスは何かを考えるように黙り込む…
まあ、読心で何を考えているかはわかる。
コイツも俺の目的に気づいたな?
「そこで提案だ。俺の下につけ。今の平和を壊さない為に……どうだ?悪い話じゃねーと思うが?」
「…私が求めたのはこんな平和ではない」
オルメテウスは言った。
反論されたか…
まあ、予想の範疇だ。
「なら、どうする?もう一度俺を倒すために血で血を洗う争いを繰り返すか?やりたきゃやれよ?今の俺はかつてのラピロア様には及ばないが、全宇宙で敵なしを自負している。権能の力がある限りその事実は決して覆しようのないことだ。天地がひっくり返っても俺の支配が終わることはない。まあ、仮に俺に匹敵する存在がいたとして…まあ、いるわけがないが、その場合は…俺はラピロア様と違って全力で抵抗するぞ?死にたくねーしな?」
「……………」
どうやらオルメテウスもわかってくれたようだ。
俺とやり合っても勝率は絶無…
仮に化け物みたいな新興勢力が現れて、俺を追い詰めたとしても、今度は全宇宙が更地になることに…
「もう一度聞く。俺の配下にならないか?ここまで言ってなんだが、バカな娘を支配者に立てたおかげで平和に翳りが見える。お前の手でもう一度締め直してくれよ?どうだ?」
俺はミリーのことを出した。
これでダメなら危ないからもっかい殺すしかねえかな?
アラウザルゴッドのフリー勢力なんか放っておいたらそれこそ平和がひっくり返る…
「………」
オルメテウスは何も言わない。
しばらくの沈黙が続く…
そして…
「………いいだろう。考えではなく、単なる利害の一致だが、手を貸してやろう。但し条件がある。平和の維持…お前に手を貸すのはそれだけだ」
「十分だ」
俺はオルメテウスのその言葉に内心でニヤリと笑う。
今や全宇宙は完全に俺のものだ。
如何なる敵対勢力にも、平和維持という大義名分で俺はオルメテウスに対する攻撃命令を出せる権限を持ったのだ。
まあ、その事実にオルメテウスは気づいているかは知らないがな?




