after10永天ラグア・エルライド・イグロシアル3
俺とエリスは転移する。
転移先はエルミナの目の前だ。
他のヤツがこんなことをすれば無礼極まりないこの行為も、俺ならなんの問題もない。
まあ、今は俺の配下という枠に収まっているが、エルミナは共に同じ主に仕えた同僚という意識の方が強い。
いきなり転移してきた俺とエリスに玉座で目を閉じていたエルミナは目を開ける。
「おいラグア?女の部屋に許可も無しに入ってくるか普通?」
「下界から俺を…永天を…喧嘩ごしの神通で呼び出しといて何言ってんだ?んなことをするヤツが乙女チックか?バカなこと言ってんじゃねーよ?」
俺とエルミナはそう軽口を叩き合った。
「クカカカっ!!まあ、それもそうか。一応今のお前は永天様でオレはその配下…四宙天の長であるエルミナ・イグロシアルだ。ならさっそく本題だ。どうする気だ?」
エルミナは言った。
「それを決める為に俺がわざわざ降りてきたんだろうが?まあ、俺が直接統治するって選択肢は却下だな。俺もお前同様にめんどくせーのは冗談じゃねー」
「チッ…それが一番手っ取り早いんだがな?なんでラピロア様の配下ってのはこんなやりっぱなしなんだよ?主人に似たのか?」
それはエルミナが自分自身にも言っていることだ。
現状、なし崩し的に全宇宙の統治者になっているエルミナもさっさとこんな役回りは降りたいのだ。
「くくくっ、かもな?なら責任とってもらってラピロア様に収めてもらうか?俺の権能ならラピロア様の復活も可能だぞ?」
冗談混じりに俺は言った。
「…せっかくお前のおかげで死ねたのに、また復活なんかさせられたら、ラピロア様は発狂するぜ?同じ復活させるなら、オルメテウスの方がまだいいだろ?今はアイツが望んだ平和そのものなんだしよお?お前が統治する気もないにも関わらず、お前が降りてきたってことはリーゼやラルファを戻すつもりもないんだろ?そーいえば、あのポンコツ娘はどうした?」
俺がリーゼやラルファを戻すつもりがない事がバレている。
まあ、こいつとの付き合いも相当なもんだからそれぐらいわかるか。
「オルメテウスか…まあ、交渉しだいじゃそれもありか。バレてるみたいだから言うがリーゼやラルファは戻さねー。俺が強く言えばアイツらはやるだろうが、それは根本的な解決にはならねー。ポンコツか…ミリーならここに来る前にクビにしたとこだ」
「物理的に…ってわけでも無さそうだな?全くお前は昔から甘いんだか、容赦ないんだか…」
「話が逸れてるぞ?ミリーをクビにした後に姉ちゃんと少し話したんだが、次の神星帝を決める為にちょっとした余興をやりたいんだが、どう思う?」
俺のその提案にエルミナは口元に笑みを浮かべる。
余興という言葉から、なんとなく察したのだろう。
「ラグア?詳しく聞かせろよ?」
エルミナは面白そうに俺に向かってそう言ったのだった。




