after7永天神話3
〜クルシアル城下町〜
リーゼとミグの二人はクルシアル城下町を仲良く並んで歩く。
この宇宙の支配者である、準星帝、リーザ・オルガット・シアルのお膝元であるクルシアルの治安はいい。
それこそ見た目が子供の二人だけで歩いても問題ないほどに…
もっともクルシアルの住人達は明らかに特徴的なその二人をただの子供とは思っていなかったが…
「あの子達…いえあの方々は…」
「しっ!!あの特徴的な見た目はどう見ても永天様の血族だろ!!しかも混ざり気が一切ない真っ白な髪に赤と青のオッドアイなら下手すりゃ直系筋だぞっ!!跪いとけ!!」
街中でそんな会話が飛び交い、人混みだったにも関わらずいつの間にやら一本道が出来上がっている…
「なんでこうなるのさっ!?これじゃイグロシアルと変わんないよっ!!」
「いや、どう考えても変装もせずに出てって素性がバレないって思ってる方が甘いでしょ?」
「だってリーゼちゃん何も言ってくれなかったじゃんっ!?あ…」
ミグの不用意なその発言でリーゼの名前が出た瞬間だった。
「リーゼ様…?永星帝様!?」
「すげー…俺らみてえな一般人は一生かかってもお目にかかれねーぞ…」
跪いた体制だが、人垣は顔をあげたくてウズウズしている様子だ。
もっともそんなことをする勇気があるものはいないが…
「はあ…バカだねー?リーゼは一応ミグの名前は伏せといたのに自爆するなんてさ?」
「うっさいっ!!お姉ちゃんをバカにするなっ!!」
「もうお互い1500万歳を超えてんだからリーゼ達の歳の差なんかもう誤差でしょ?エルミナ達ぐらいの差があるなら別だけど?」
一本道を通りながらリーゼ達の会話は続く…
「星王、ミグ・ヒピー・イグロシアル様…本当、雲の上の会話よ…」
跪いた女性の一人がポツリと小声でそんなことを漏らした時だ。
ミグの足がピタリとその女性のところで止まった。
「ねえねえ?そこの人?顔あげて?」
「はっ!?はひっ!?」
まさか話しかけられるなんて夢にも思わなかったのだろう。
女性は変な声をあげた。
そして同時にその原因について思い当たる。
先程の自分の発言が星王様の気に触ったのだろう。
「申し訳ございませんっ!!以後気をつけるのでどうか…」
女性の選択は平謝りするしかなかった。
「いや、いいから早く顔あげなよ?話が進まないよ?」
ミグのその若干不機嫌な声色に女性は即座に顔をあげる。
相手は永天神話の伝説の体現者の一人である。
機嫌を損ねたら殺されるぐらいでは済まないかも知れない…
どちらにせよ、自分はもう終わっているのかも知れないが…
そんな女性に対し、ミグはにっこり微笑む。
そして…
「映画館ってどこ?てか何時から上映するの?」
ミグはまるで子供のように言ったのだった。




