after4永天神話2
リーゼとミグは転移する…
「ねえ?数ある全宇宙の中からここを選んだ理由は?いや、見えてるけど言わせて欲しいよね?」
リーゼは転移した瞬間にそう言った。
ここは、リーゼにとっては娘にあたる存在…
リーザ・オルガット・シアルが支配する惑星である。
「リーゼちゃんの叔父さんも言ってたじゃん?たまには家族に会わなきゃダメだよ?」
叔父さんとは三島煌一のことだ。
「まあ別に困ることもないからいいけどさ、でも城になんか転移したらお忍びで来た意味がなくなるよ?」
「あ…そっか…」
失念してたのかミグは口をまんまるに開く…
その時だ。
「おっお母様っ!?」
リーゼ達が転移した場所…
城内の美しい庭園にいた、三人は目を見開く…
たしかもう2人はルーグの子だから、全員がパパの孫だ。
「「!?っ、リーゼ様っ!?」」
ルーグの子達は慌ててその場に跪く。
「いいよ。勝手に来ただけだから楽にして?リーザ、久しぶりだね?元気にしてた?」
見た目だけ見るなら姉妹のように…しかもリーゼの方が妹に見えるが、この2人は列記とした親子である。
「はっはいっ!!お母様っ!!」
顔を紅潮させながらリーザは言った。
永天ラグアの血族とはいえ、リーザ達、孫の代までいくと立場はそこまで強くはない。
具体例をあげるなら、例えばリーザのイグロシアルでの階級は準星帝だ。
準星帝は名前だけは星帝とついているが、立場も発言力も永天直轄領の最高幹部に劣る…
従って、親子とはいえ、リーザにとってリーゼは雲の上の存在なのだ。
平時なら一年に一度ほど、一言二言言葉を交わせればいい方だ。
「お母様、クルシアルにはしばらく滞在する予定でしょうか?」
クルシアル…
リーザの支配領域はそんな名前だった。
まあ、特にすることもないし…
「うーん…数日はいようかな?ミグもいいよね?」
リーゼは言いながらミグに視線を送る。
対するミグは…
「いいけどその前にまずは映画だよっ!!」
ミグはリーゼの手を掴むとそのまま引っ張る。
もはやただの子供である。
「お母様、ミグ様、それでしたらこのリーザがご案内を…それから我がクルシアルの精鋭を護衛に…」
「いらないよっ!!そんなことしたら何のためにお忍びできたかわからなくなっちゃうじゃん!?」
「もっ申し訳ございません。そこまで気が回らず…」
少し前の自分のやったことを完全に棚に上げてそんなことを宣うミグにリーザは血相を変えて謝る。
リーザ達若い世代にとって、永天の伝説の体現者であるイグロシアル最高戦力は等しく憧れであるから当然だ。
「まあリーザ?子守が終わったらいっしょに出かけよう?」
「光栄にございますっ!!お母様っ!!」
「子守じゃないもんっ!!あたしが1番お姉ちゃんなんだよっ!!」
コロコロ表情の変わるリーザをあとに、成長するどころかむしろ精神年齢が退化しているかも知れないミグとリーゼはクルシアルの主星の城下町にくりだすのだった。




