エピローグ
俺の独裁制宣言から本当に気の遠くなる…
それこそラピロアが神帝として君臨していた期間…いや…ラピロアの神生すらも、遥かに超える…
そんなふざけた月日が流れた…
〜
俺は今とある存在と向かい合っている。
遠い日の約束を果たす為に…
「ラグア様?また権能を精神安定に使ったんですか?そんな事をしても一時凌ぎに過ぎませんよ?」
「…黙れクソアマ…こんでも長く持った方だ…もはやどいつもこいつも長生きしすぎて廃人状態じゃねーか…」
目の前にいる俺のかつての俺の仲間達の中で唯一正気とも言える…いや、コイツは元々正気じゃないから正気ではないのか?
いや、自分で言っててよくわかんなくなってきたぞ?
あれ?
「おやおや?私より若いのにもはやボケ老人ですね?介護が必要だったり?認知症には大豆が効くらしいですよ?私が出してあげましょうか?えーっと…鬼は〜外〜っ!!」
いろいろ間違っているし、気の遠くなるような時の中でも変わらずふざけた存在…
相棒、エリローズが大豆を投げつけてくる。
「うるせえ…ここまできたらもはやお前との差なんか誤差だろ…つーか…てめえは変わんねーな…」
俺は言った。
「ふふふっ、神生楽しんだもの勝ちですよ?ところで何しに来たんですか?お姉ちゃんに介護してもらいにきたなら喜んでやりますが?」
のらりくらり…
このふざけた態度ももう忘れる程長い時間が経ったが全く変わらない。
いったいいつからだっただろうか?
最近のような気もするし、かなり前だったかも知れない…
まず最初に精神的におかしくなったのはリーゼと姉ちゃんだ。
あの2人は思考が他のヤツらとは違うから仕方ないのかも知れないが、リーゼはそんな中でも俺の目の黒いうちは俺といっしょにいるとか言って、自分の権能で自分の精神崩壊を必死に止めている。
もっとも昔のような思考能力は見る影もないが、他の連中はさらに酷く、次々に精神崩壊を起こしていったから、一応は数少ない最後まで残った1人なのだが…
「そうだな…姉ちゃんよ…」
「おや?…これは重症ですね…」
俺の口からまさかそんな言葉が出てくると思ってなかったのか、エリローズは目を見開く。
俺は目を閉じる。
そしてそのまま無数の触手を全身から伸ばす。
千手観音モードである。
「エリローズ…相棒…約束だ…俺の…俺の手でお前を殺す…覚えてるか…」
「私はラグア様と違って認知症でもアルツハイマーでもないから覚えていますよ?そのあとは…いえ、聞かないでおきますよ…。ただラグア様がボケていた時間も私は正気だったことをお忘れなく?」
エリローズの身体から信じられないことに、権能の力が溢れ出す…
コイツいつの間に…
いや、ボケてたのは事実だからわからなくて当然か。
「私が勝ったらお姉ちゃんとして、オムツ替えてあげますよ?」
「くくくっ、冗談じゃねえ…ぶっ殺してやらあ…」
なんだか久しぶりに笑ったような気がする…
俺は久々に精神安定以外の目的で権能を発動する。
俺とエリローズは互いにこれから殺し合いともいえる戦いの前だというのに、口元には笑みすら浮かべている…
「楽しかったぞ…」
「私もです」
俺とエリローズは互いにぶつかり合う…
かたや、今では誰も知らないアルムスという惑星の最悪の邪神…
かたや、今では誰も知らない日本という小さな島国の連続殺人鬼…
そう。
これは邪神とアメーバに転生した死刑囚が出会ったことからはじまった物語である。
今までご愛読ありがとうございました。
これにてアメーバ転生~異世界転生した死刑囚~R15 verは完結となります。
とは言っても七月ぐらいから、とりあえず毎日更新から不定期更新に切り替えたアフター編をスタートするつもりですが…笑
時系列は1017話異世界転生した死刑囚2から少し経ったぐらいのお話にするつもりです。
そして、一応とりあえずの完結を迎えさせていただきまして、皆様にこの場を借りて、一言お礼を言わせてください。
二年以上にもわたる長い間、応援ありがとうございました!!




