第1015話神帝の玉座3
ラピロアの権能はまだ抵抗を続けるが、すでに大勢は決した。
いくら権能で固めているとはいえ、1箇所でも完全に破られれば強度は格段に落ちる…
そして…
「うっ………ラグア?」
ラピロアが意識を取り戻したようだ。
さすがの権能も諦めたのか?
「…これは…ボクの権能が崩壊…夢じゃないよね…」
自らの身体が崩壊していく様子を見ながらここまで喜色の表情を浮かべているのはコイツぐらいだろう。
「そっか…権能を殺すには権能持ちが2人いれば…だからパパはあの時…まあ、どうでもいいや」
ラピロアが話しているのはルービスメゾルの勝ち筋の話だろう。
チェルシーかウドラハークのどちらかが権能に目覚めない限り、ラピロアは倒せない。
もっとも仮に目覚めたとしても、リーゼの先程のようにラピロアが無抵抗かは微妙なところだが…
「さて…ラグア…気の遠くなるような年月でそれぞれ独立している108つのボクの魂が完全に崩壊するまで…まだ少し猶予がある…」
ラピロアはニヤリと笑みを浮かべる…
おいおい?
この後に及んで裏切って抵抗する気じゃねえよな?
勝つ気がないラピロアだったからこそ、やっとではあるがなんとかなったが、まだ奥の手があるならどうしようも…
「何を焦ってるのさ?…心配しなくても何もないよ…」
俺の焦燥を感じとったのかラピロアはそう言うと、真面目な顔になって向き直る。
「おめでとう…よくぞボクの8つのボクの形態を全て打ち負かした…これで…全宇宙は君のモノだ…ラグア…君は全宇宙に何を望む…?前に読心かな…?で見たことがあったかも知れないけど…最後だからね…君の口から聞かせてよ…」
「俺は俺と俺を認める仲間が好き放題できる理想郷を作るんだよ。ラピロア様がいなければ俺を脅かす存在はもういないしな?」
対する俺は笑みを浮かべながらそう答えた。
そんな俺に大してラピロアも笑う。
「はははっ…ラグアらしいや…その世界…ボクもちょっと興味が…」
「権能で生き返らせてやろうか?」
「…絶対にやめてね…」
俺の冗談にラピロアは一瞬で真顔になった。
そして…
「さて…どうやら本当にさよならみたいだ…ラグア…向こうの世界に言っても君のことは忘れないよ…これでようやく…サフィアに…」
言いかけたラピロアはそこで完全に権能に押し潰される…
これで終わり?
否、これははじまりだ。
俺の…俺と俺の仲間たちの為の理想郷の…




