第1013話神帝の玉座
「ちょっとー?真顔でそんなこと言われたらボクはどうすればいいんだよっ!!倒してよ!?殺してよ!?そうすれば全宇宙は君のものだよ?さあ?」
いや、いくら言われても無理なもんは無理だ。
「さっきのがデフォルトで領域纏いがつくっていう第七形態だろ?たしかラピロア様はその上にもう一個あるんだよな?逆に返すぞ?俺にどうしろと?」
「いや…」
ラピロアは俺のマジレスに口籠もるが、何か言う前にリーゼが前に出る。
「仕方ないなー。そこに立ってなよ?リーゼの権能で潰してあげるからさ?」
言いながらリーゼは権能を発動する。
リーゼ程度の権能ではラピロアの権能には刃が立たず、弾き返される…
だが、それでもリーゼはお構い無しにラピロアに権能をぶち当てる…
〜
ついにリーゼの権能が弱体化しきってこれ以上下がらない状態にまで落ち込む…
それでもリーゼは権能の攻撃をやめない。
「…いい子だね?ラグア?君も見習った方がいいよ?」
無駄だが、健気な努力…
ラピロアは暗にそう言っているようだ。
だが、ここまでやればさすがの俺でもわかる。
リーゼのしていることは無駄ではない。
「見習うも何もやるだけのことはやるさ。リーゼのおかげで一応お前を殺せるかも知れない方法は見つかったからな?」
下がりようのなくなったリーゼの権能の連続攻撃により、ラピロアの権能が少しずつ…
本当に少しずつだが、弱体化するのがわかった。
そしてかなりの時間が経過する…
〜
「第七形態が強制発動した!?」
ラピロアは自分の身体に目を落とすと驚愕に目を見開く。
ラピロアの権能もついに底辺に落ち込み、リーゼの権能を防ぎきれなくなったのだ。
命の危険を感じとったラピロアの権能は、権能自らの意思により第七形態…
権能の領域纏いを発動させた。
「さあパパ?仕上げだよ?」
リーゼは言いながら俺の前に立つと首を差し出す。
「あ?」
俺は素っ頓狂な声をあげた。
「わかってるでしょ?相手は神帝ラピロアだよ?準備しすぎて困ることなんかないんだよ。リーゼを殺って?最大に強化したパパの権能で天下の神帝様に最後の忠義ってヤツを見せてあげようよ?まあ、パパのカッコいいとこが見れないのはちょっと残念だけどさ?」
口元に笑みを浮かべながらリーゼは言った。
どこかの甘ちゃん主人公なら…『そんなことはできない』って拒否する場面だろう。
まあ、そんな茶番みてえなやりとりは誰も求めてないし、そもそも俺の柄じゃねえ。
「…地獄で見とけよ?まあ、すぐに呼び戻すだろうがな?」
「うん、待ってるよ」
俺はリーゼのその答えを確認すると無抵抗のリーゼに全力の触手の一撃を叩き込む。
不滅を持っていないリーゼは権能を止めることができるため、リーゼはそのまま消滅する。
そして…
「待たせたな。いくぜ主様よお?」
「勝つ為ならなんでもする。本当に君らしいや。まあ、本当なら負けてあげたいところだけど、それは許してくれないんだよね。じゃー、殺ろうか?神帝の玉座…君に座る資格があるかどうか…ボクに見せてもらおう…」
俺とラピロアの最後の戦いが幕を開ける…




