第1012話神帝達の宴10
「貴様らの権能をよこせっ!!」
言いながらルービスメゾルはリーゼに向かって権能を放つ。
チェルシーがやられる前にルービスメゾルが来なかったのは、ラピロアのせいだろう。
ラピロアのあの棒読みが答えだ。
ラピロアはルービスメゾルを弱らせた上で俺にトドメを刺させる為にここに連れてきたのだ。
そしてこれがルービスメゾルの権能…
うん…弱い…
ほぼ初期状態のリーゼよりは多少マシだが、俺の権能とは比べるのも可哀想なレベルだ。
そしてその権能も…
「あ、ごめんパパ。手が滑った」
「ラピロアぁぁぁ!?」
ラピロアの権能で粉々に打ち砕かれる。
そんな中、リーゼはすっと身を退く。
共鳴なんかなくたってコイツが俺にトドメを譲るのはわかっていた。
信頼ってのは本当に美しいな。
まあ、仲間限定だがな?
俺はそんなことを思いながらルービスメゾルに手を向ける。
「チェルシーっ!!ウドラハークっ!!くそ…皆やられたのか…」
ルービスメゾルとラピロアの戦いがどのようなものだったのかはわからないが、ラピロアが絶対有利な状況だったことは確かのようだ。
じゃなければ、ラピロアだけが一方的にこちらの状況を知る余裕があるはずないからな。
「じゃあな。化石ジジイ」
俺はそう言うと権能を発動させる。
俺の権能はルービスメゾルの肉体を…神格エネルギーを…そして魂までも粉々に粉砕する…
そして…
〜
「逝ったか…本当に最後まで滑稽だったよ…あんたは…手に負えないレベルになった息子の教育すらできないのに全宇宙を終わらす?寝言はあの世で聞くよ…まあ、予定なんだけどさ」
言いながらラピロアは俺に向き直る…
同じ権能持ちだからわかるビリビリくるこのふざけた力はラピロアの本気だろうか?
ラピロアの周囲には可視化した権能…
絶大と言っても生温い力の暴力が見えている。
「ちょっと待ってラグア…今抑えこむから…ぐうぅ…」
ラピロアの権能がだいぶ収まる…
この程度なら普通に対応も可能だが、先程のアレは全力でもたぶん無理そうだ。
つまりはラピロアに勝てないってことだ。
「ふう。第七形態を使ったけど、思ったより権能が弱体化してないんだよね?ラグアいける?」
ラピロアは言った。
俺の権能はルービスメゾルのトドメを刺した時にかなり強化された。
その強化はさすがは神帝といったところだ。
ミグを倒した時とは比べものにならない…
だが…
「いや無理だろ」
俺は真顔でそう答えるのだった。




