第1008話神帝達の宴6
リーゼの猛攻がウドラハークを襲う…
ウドラハークも反撃はしているから攻防というべきか…
だが、ラグアと同じ千手観音モードの触手の連撃とはいえ、リーゼのそれは悪質そのものだった。
まるで一本一本の触手がそれぞれ別々の思考をしながら、まるで意思を持っているかのように襲いかかるその姿は、リーゼの多重思考があってこそ成り立つものだった。
「ええいっ!!鬱陶しいっ!!」
神格エネルギーが徐々に上昇しているのにも関わらず、リーゼに対して優位に立てないウドラハークは苛立ちながら唸り声をあげた。
現在、戦闘自体はリーゼが押しているが、ウドラハークの神格エネルギーの上昇があるため、差はほとんど開いていない。
簡単に言うならウドラハーク、リーゼの両者の神格エネルギーが少しずつ増え続けているのだ。
〜
リーゼは状況を確認する。
チェルシーのあの移動も特殊な概念によるものだろうが、あの力はウドラハークの方よりも面倒だ。
先に倒すならどう考えてもウドラハークである。
ウドラハークの概念…
神格崩壊を防いだ力と神格エネルギーを徐々に増加させる力…
ウドラハークは権能に見せたかったみたいだが、そこまで万能な力ではない。
まあ、いいとこ概念、神格…
神格エネルギーに直接干渉する力というところだろう。
それだけで十分に有用な概念だし、過去に出会ったオリジンゴッドが誰も持っていなかったところを見ると、特別なプリミティブに相応しい概念なのだろう。
けど、所詮はリーゼの敵じゃない。
もっと早く出会っていたら結果も違ったかも知れないが、"もし"が現実になるのは権能だけで十分だ。
そして…
パパの方に回していた思考能力の大半が帰ってくる…
チェルシーはこちらの思惑通り動いたようだ。
なら…
少し…少しだけなら持つよね…
ここでリーゼは切り札である完全思考と神格流動を発動させる…
頭が割れるような激しい頭痛に一瞬立ちくらみを起こすが歯を食いしばってなんとか堪える…
こいつさえ倒せばこんな頭痛は自分の権能で治せる…
いけるはず…いや、絶対いける。
あと三手…それだけでウドラハークは終わりだ。
勝ちは完全に見えた。
「さあ、遊びは終わりだよ。リーゼが遊んでいるうちに倒せなかった時点でお前の負けだよ。ここからは未来永劫お前のターンは訪れないよ」
最悪の体調を悟られないようにリーゼは努めて気丈に振る舞うとそう言ったのだった。




