第1001話白と青のグラデーション66
復活したミグの最初の動き…
それは俺に背を向けるというものだった。
逃げた?
つまりはそういうことだよな?
俺は真っ直ぐミグを追いかける。
ミグの神格エネルギーによる身体能力は神帝憑依状態の俺と同等だ。
ミグとの差は離れないが縮まらない。
俺は神格エネルギーを上げようと権能を発動したところで止まる…
なるほど、これが狙いか…
そりゃ心理的には逃げられれば追いたくなるわな?
だが、そもそもそんな必要ない。
使い慣れてねーから、俺も追いかけちまったが…
「バカがっ!!権能に射程距離なんかねーんだよっ!!」
「なっ!?ラグ…うっ!?」
何かを言いかけたミグはそのまま魂もろとも俺の権能に押し潰される…
自分でやってて思うが、とんでもねえほど理不尽な力だよな。
権能を持っていないヤツは勝負にすらならず、存在を認識しているだけで距離、次元、時空を完全に無視しての殺傷が可能。
仮に権能を持っていたとしても、その力が攻撃者側の権能に及ばなければ…
見ての通りだ。
俺はミグの復活を待つ。
〜
ん?復活が遅いな?
殺し切ったか?
さっきのが最後の復活だったから、ミグは逃げを選んだのか?
まあ、その可能性もあるがだとしたら呆気ないな。
あれだけ…
その時だ。
「…なめんなよラグア…これで勝てるかどうかは正直わからない…でもやれるだけのことはやった…さあ、最後の勝負と行こうか?」
今までよりかなり遅れた復活…
俺はその見慣れた存在に笑みを浮かべる。
「だよな?てめえは最終決戦に戦いもしねえで逃げるような性格じゃねーよな?」
「キャハハハっ、嬉しいねー?そこまであたしのことわかってるとか、まるでミュラっちと話してるみたいだよ?まあ、でも悲しいな…あたしとお前の付き合いもこれで終わりだね?」
その瞬間、ミグの身体からとんでもない波動が放たれる…
同じ権能保持者の俺にはわかる。
これは可視化した権能の塊だ。
どんなカラクリを使ったかわからないが、ミグの権能は先程とは比べものにならないほど強化されている…
どうする?
安全策をとるなら逃げるべき…
いや、逃げ場なんかねえ。
権能には射程もなにもあったもんじゃないのは、さっき他でもない俺自身が証明した。
それに…
「くくくっ、何言ってやがる?俺は逆に嬉しいぞ?むしろこの瞬間を待ち侘びたぞ?俺はお前ほど無駄に歳食ってねえからな?」
待ち焦がれた…
憎しみから生まれた奇妙なこの関係…
終止符はどちらかが倒れるまで決して訪れない。
けど、こうゆうのも悪くない。
俺たちの関係にどうこう言うヤツ?
無粋だぞ?殺しても足りねーよ。
「ミグ…」
「ラグア…」
俺達は互いに構える…
次の権能が最後になるのがお互いわかっているのだ。
「「くたばれ戦友っ!!」」
俺とミグは互いに権能を全開にした。




