第994話白と青のグラデーション59
「なっ!?」
アゼルメーテは驚きの声をあげる…
何が起こったか…
それは突如、ミグの神格エネルギーがロストしたのだ。
パパが勝った?
いや、おそらくまだミグは終わってないはず…
でもそれより…
動揺により、アゼルメーテが僅かに隙を見せた。
こんな絶好の機会逃したらただのバカだよ。
リーゼはついにここで完全思考を発動する。
酷使しすぎた細胞が悲鳴をあげるのと、引き換えに思考はクリアなものとなり、リーゼの能力を最大まで引き上げる…
さらに…
「核玉っ!!神帝の絶対領域っ!!」
「!?っ、神格崩壊っ!!」
リーゼはレプリカの核玉の神帝の絶対領域を発動させる…
動揺により一瞬反応が遅れたアゼルメーテだったが、初見の技…
おそらくは神玉の能力を発動させることで、リーゼの神帝の絶対領域を相殺する…
まだ…
「神帝憑依っ!!」
「概念融…」
「遅いっ!!」
さらには間髪いれずに神帝憑依を発動させたリーゼの一撃がアゼルメーテに直撃する…
「ぐくっ…!?」
さすがのアゼルメーテもこれには大ダメージを受けるが、リーゼは内心で舌打ちをする。
完全思考と神帝憑依を合わせた一撃は凄まじい…
いくらアゼルメーテ程の膨大な神格エネルギーがあれど、直撃を受ければ一片のカケラも残さずに消滅しているはずだ。
それが示すことはつまり…
「…うぐぅっ!?」
そして遅れてくる激痛…
やはり領域纏い…
リーゼは確信する。
〜
状況を整理しよう。
自分の一撃はたしかにアゼルメーテに突き刺さった…
アゼルメーテの腹には大穴が空いている。
だが、自分のダメージはさらに酷い…
それこそ原型をとどめていないぐらいにズタボロだ。
リーゼとアゼルメーテの直接対決はアゼルメーテの勝ちである。
これが一対一なら…
原型をとどめていないグチャグチャなアメーバ状態のリーゼの片目…真っ赤な瞳がギラリと輝く…
その瞬間だ。
腹に大穴が空いてすぐには復帰できないアゼルメーテに三島煌一を筆頭にした連合軍が次々に殺到する…
「……食い………尽…くせ…」
その声はもはや普段のリーゼのものではない。
耳障りで醜い声…
声帯など既にぐちゃぐちゃだから、どこから出した声かもわからない…
なんとかその言葉を紡ぎ出したリーゼは、アゼルメーテに殺到する味方に視線を送りながら、ゴッドバーストを撃てる状態まで。高速で体を再生させるのだった。




