第992話白と青のグラデーション57
一方その頃…
「…おのれ…蝿どもがっ!!」
「ゴキブリ並の生命力のヤツが何言ってるのさ?」
毒づいたアゼルメーテに対し、リーゼはそう軽く受け流す。
現在アゼルメーテとリーゼ達の戦いはどちらも、決め手がないまま進んでいる。
ちなみにアゼルメーテが蝿と表現したのは、リーゼの指揮の元、嫌がらせのように概念攻撃を繰り返すラグアとラピロア、そしてエルミナやミーラルの連合軍のことだ。
アゼルメーテが警戒する必要があるのは、まずはリーゼ…次いで三島煌一だが、リーゼに統率された最効率化された妨害工作は鬱陶しいことこの上ない。
「失せろ蝿どもっ!!」
ここでアゼルメーテも動き出す…
前の方にいた連合軍達が、文字通りの崩壊をはじめる…
前線が崩壊したとかではなく、物理的な崩壊だ。
「概念融合…いや、威力が低いから神玉の劣化概念融合か…いいよ。お前ら一旦退きな?」
崩壊した前線と入れ替わりにリーゼが前に出ると、そのまま物理攻撃でアゼルメーテと打ち合う…
打ち合うリーゼの触手とアゼルメーテの腕は火花が散るどころか、もはや絶え間ない打ち合いにより閃光と化している。
そもそも光が二人のスピードに追いついていないのだ。
「概念融合、炎舞」
「概念融合、神氷」
アゼルメーテの炎舞とリーゼの神氷が互いに激突する…
さらにそれと同時に一旦退かせた連合軍からは、リーゼの共鳴の概念での指令を受け、再び概念の嵐が浴びせられる…
神格エネルギーが勝っているとはいえ、神玉を持たないリーゼは全力展開の概念融合の戦いでは不利だ。
ならどうする?
劣化概念融合を別のところに使わざるおえない状態にすればいい。
案の定アゼルメーテはおそらく腐敗の劣化概念融合で概念の嵐を完全に蹴散らす…
「見事…だが、それは肉弾戦なら我に勝てると思っているということか?いくらなんでもそれは甘すぎるのではないのか?神格流動っ!!」
「ちっ!?叔父さんっ!!」
「たくっ…手間のかかる姪っ子だな」
切り札の一つである神玉の能力、神格流動を発動させて格段に動きが変わったアゼルメーテに対し、さすがに形勢不利と見たリーゼは三島煌一に援護を求める…
だが、それでも互角とはいかずに若干アゼルメーテが押し気味である。
しばらくはもつけどこのままじゃジリ貧でいずれ負ける…
リーゼの残る手札は核玉のレプリカと完全思考…
だが、どちらも考えなしに連発できるようなものじゃない。
使いどきが肝心…
リーゼはそんな事を考えるのだった。




