第991話白と青のグラデーション56
時は少し遡る…
ミグの権能の概要を打ち破った俺は千手観音モードを展開していた。
もはや勝負は決まったようなもの…
俺はミグに襲いかかる。
ミグはそれをなんとか躱す…
状況はさっきと真逆だ。
無限転生を使えるミグは俺の魂を輪廻の狭間に吹き飛ばすことが可能だが、俺の権能の概念がミグの権能の概要を上回る限り、それは無駄だ。
無限転生を潰されるばかりか、俺の権能に押し負けて吹き飛ぶのはミグの魂の方だ。
つまりミグは躱すしかない。
「そんなの当たんないよ?概念融合、天刃っ!!」
ギリギリに見えたが、あくまでも余裕で躱した風を装ったミグは天刃の概念融合を発動させる。
接近戦では勝ち目がないと判断したのだろう。
まあ、無駄だが…
俺は特に何もしない…
というか無視して突っ込む…
「バカか?この程度じゃ不滅の領域纏いには傷一つ付かねーよ!!」
「くっ…」
言いながら俺は触手の連続攻撃を浴びせる…
当たりはしないが、ミグの余裕がどんどんなくなっていくのがわかる。
よし、今だ。
覚醒、真覚を全力発動…
そして…
「神帝憑依っ!!
絶大な力と引き換えに概念の効果を得られなく神帝憑依だが、いざとなれば権能の概念だけはお構いなしに発動できる。
なんでもありだからこそ、権能はチートなのである。
権能を手に入れた今、不滅の領域纏いがなくても恐れるものはない。
「ぐあぁぁぁぁぁぁ!?」
ミグの断末魔の叫びが聞こえ、ミグの体が爆散する。
さらに通常攻撃の為、ミグに奪われた神格エネルギーも俺に戻る…
110万ってとこか…
まあ、いまさら神格エネルギーはどうでもいいか。
俺はそんなことを思う。
黄泉の神の復活の気配…
俺は権能を発動する。
ミグの権能が抵抗する素振りをみせるが、俺の権能の概念で力ずくで押し切る…
〜
最後は呆気なかったな。
まあ、黄泉の神を権能で潰されればいくらミグでもどうしようもないはず…
「!?っ」
俺のそんな甘い考えは不滅の領域纏いが粉々にされることで打ち砕かれる。
慌てて権能の概念で修復するが、攻撃された気配すらなくこんなことができるのは権能の概念だけだ。
ルービスメゾルの襲撃か?
クソッ…
ラピロアは何やってやがる…
「…完全な不意打ちだったのに対応されたか…さすがあたしが見込んだ宿敵だねー?」
その声は、黄泉の神を封じた上で確かに殺したはずの存在…
蒼天、ミグ・ヒピーそのものだった。




