第988話白と青のグラデーション53
「エルミナ…久方ぶりの再会がそれか?」
「久方?たしかにな?そーいやオレもお前に一言言いたかったんだぜ?てめえは一体何がしたかったんだ?
エルミナは最初は静かに…
途中からは心底疑問にそう聞いた。
長年積み重なった慢心か、無限の可能性を約束されたアラウザルゴッドにもかかわらず、現在の力に甘んじて当時駆け出しのラグアに惨めに敗走…
ここまでは仕方ない。
コレートルの実力不足だから仕方がないと言える…
だが、問題はここからだ。
その後、逆転の目もないにも関わらずオルメテウスまでも巻き込んだ地球での鬼ごっこ…
「なあコレートル?殺る前に聞かせろ?てめえは一体何がしたかったんだ?アゼルメーテみてえに上を目指すでもない、オレみてえに自分が好きにやれる舞台を作ってくれる主につく訳でもねえ。オルメテウスのように頑固に信念を貫くわけでもねえ。リーゼと殺りあったオルメテウスは最後の最後まで、一切逃げの選択肢を打たなかった。てめえは全てが中途半端だ。強者と見るや即座に手の平を返すミーラルの方がまだわかりやすいぜ?」
今の話を横で聞いていたミーラルはエルミナに愛想笑いを浮かべる…
対するコレートルは単眼を細める…
「エルミナ…儂とて己こそが絶対の神…そう思って…そう信じていた時期はあった。エルミナ?お前とてそうだろう?」
「くかかかっ!!何を当たり前のことをそれこそがオレ達イナゴ…」
「お前はラピロア…そしてアゼルメーテに及ばなかった…儂はお前に及ばなかった…それだけのことよ」
エルミナの言葉を途中で遮るとコレートルは言った。
そう。
コレートルははじめから諦めていた。
いや、正確にはよくも悪くも覆るとは思っていなかったのだ。
アラウザルゴッドとなったまではよかったが、コレートルがアラウザルゴッドになった時点で自身以上の実力を持つアラウザルゴッドは既に4体いた。
エルミナもその一人である。
そしてコレートルは悠久の時の中に存在する絶対の力の差を疑わなかった。
だからこそ、当時、新星のアラウザルゴッド、白天、ラグア・エルライド・イグロシアルに負けることなど微塵も考えていなかった。
「ラグアのヤツはまだ雑魚だった頃から自分が絶対だと思っていたぜ?いつか全員ぶっ殺すってな?まあ、それがアイツとてめえの差だな」
「…エルミナ…貴様とて…貴様とて今では白天には及ばないはず…ぐふっ!?」
コレートルのその言葉が言い終わらないうちにエルミナの目で追えない一撃がコレートルを真っ二つにする…
「んなもん知ってるぜ?ラグアはオレ達みてえな負け犬とは違う。地獄で見てろよ…アイツがラピロア様の後を継ぐのをな?」
闘争の領域纏いの結果、復活がはじまらないコレートルに向けてエルミナは言ったのだった。




