第982話白と青のグラデーション47
闘争の概念…
それは本来、全ての概念や、スキル、ギフトを封じ、さらには術者のステータスを爆発的に上げ、自分と相手の力のみでの戦いに特化した概念である。
アンチステータスゾーンとの違いは、相手のステータス自体は変わらないことだ。
だが、エルミナの闘争の概念は領域纏いにより、効力は高まっていた。
そう。
相手の領域纏いすら封じれるほどに…
そう。
ロロの時空の領域纏いをエルミナの闘争の領域纏いは完全に封じていた。
さすがに神域纏いまでは封じることができなかったが、ロロは領域纏いも併用していた。
領域纏いがなくなったことにより若干動きが悪くなるのは当然だった。
「なめるなっ!!」
だが、ここでロロは時空の神域纏いを全開にすることにより、動きを元に戻すどころか、さらに加速する…
「いいぜっ!!そうこなくちゃなあっ!?」
ロロとエルミナが互いにありえない速度の攻防を繰り返す…
〜
互角…
と言えば聞こえはいいが、それは一時的なものだ。
両者の力は拮抗しているが、それはどちらも勝負に出なかったからに他ならない。
このままアゼルメーテが出てくるまで時間を…
バカか!?
この後に及んで俺は何を考えている?
コイツは俺が倒す。
ロロは覚悟を決める。
「くかかかっ!!いいじゃねーか?漢じゃねーか?惚れちまいそうだぜっ!!」
ロロよりも神格エネルギーが上のエルミナは読心でロロの感情を読んだのだろう…
「…お前みたいな女はこっちから願い下げだ」
エルミナの言葉を軽く受け流しながらも、ロロは全身にありったけの神格エネルギーを込め、時空の神域纏いを最大展開する…
次の接触で勝負が決まる…
ロロにはそんな確信があった。
もっともそれはエルミナも同じだ。
エルミナも全身に最大の神格エネルギー…そして闘争の領域纏いで増加したありったけの力を込める…
「くかかかっ!!フラレちまったか?けっこうマジだったのによお?」
「…なら、お前の気持ちを受け止めてやるから負けてくれないか?」
エルミナの軽口に対してロロはそう軽口を返した。
幾度にわたる攻防でお互いがお互いを認めている為か、そんなことを言い合える空気になっていた。
「くかかかっ!!そいつはできねー相談だ。オレにも立場ってもんがあるし、何より…」
エルミナはそこで一度言葉を切る。
「…こんな楽しい勝負、そんな結末に終わらせちまったら一生後悔するだろーがぁぁぁぁ!!」
言いながらエルミナは突っ込む言葉は荒いが、その表情は嬉々としている。
対するロロもそれに応戦する構えを見せる。
そして両者がぶつかり合う…




