閑話とある神様のお話
神界。
そこは神々の世界。
この宇宙のどこかにあるとされているが、正確な場所を知っている神は少ない。
そこにはあるのは真に神秘的な世界である。
空中に浮かぶ壮大な城。
宇宙を見渡せる湖。
宇宙各地へと繋がる虹のゲート。
どれをとってもまさしく神の所業である。
その空中に浮かぶ城の玉座に一人の神がいた。
彼は全ての神の中で唯一、名前のない神だ。
なぜなら必要ないからだ。
宇宙神、最高神、始まりの神。
彼に生み出された新しい神々は彼の事をそう呼んだ。
彼にはそれで十分だった。
彼自身が造り上げた、愛しいこの宇宙管理する事が自らの役割。
それこそが彼の存在意義なのだから。
彼は自慢の真っ白な髭を触りながら考える。
その表情は威厳に満ち溢れているが、その内心は穏やかではない。
つい先日、今から約1000万年前に消滅の神エリローズに追い詰められ、残された力を振り絞ってかけた制約が破られたのだ。
やはりヤツはあの時殺しておくべきだった。
彼は今更ながらに後悔する。
エリローズとはじめて出会ったのは最早、数兆年前だ。
当時から自分は生まれながらに完成された存在だった。
オリジンゴットは基本的に生まれた瞬間から司る概念、そして自らの役割を持って生まれる。
自分達を誰が作ったのかはわからないが、オリジンゴットは意思を持った概念の塊だ。
当然、力の上限など生まれた時から決まっている。
まさかあんな抜け道があったとは…
昔の自分は傲慢だった。
全ての神は自分に従うものだと思っていたし、自らが負ける事など万に一つもありえないと思っていた。
オリジンゴットが力を増す方法、それは同じオリジンゴットを殺す事。
他の有象無象の神ではダメだ。
概念を持った神でないと、意味がない。
彼女がいち早くそれに気づいたのは、彼女自身の概念の為だろう。
彼女の概念は消滅。
全てを消す事でしか満たせない存在。
彼女は他のオリジンゴットを殺し続けた。
自分が気づいた時には、オリジンゴットは自分と彼女のみになっていた。
当時最強だった自分は負ける事など全く考えなかった。
彼女もそれは同じで自分に戦いを挑んできた。
結果は完勝、彼女の神格エネルギーは上限いっぱいでも自分の七割程度の力だった。
負ける要素など全くなかった。
そして彼女を除いて自分が最後のオリジンゴット。
つまり彼女はこれ以上の力を得る事はできない。
その考えが彼女を殺すという選択より、支配下に置くという選択をとらせた。
今考えれば全てが間違いだった。
当時の自分に戻れるならぶん殴ってやりたい。
ちなみにそれは神級スキルを使えばできるが、そういう事ではない。
他の生命はともかく過去に戻って彼女を殺したところで現在の彼女には何の影響もない。
神とはそうゆうものなのだ。
最高神の思考はまだ続く。
次回も閑話の続きです。
お願いします。




