第980話白と青のグラデーション45
猛攻を続けていたエルミナの手が止まる…
否、弾き返されたのだ。
エルミナは驚愕と同時に心の底から喜んだ。
「ほう?叩いてみるもんだな?まさかここまで化けるとは思わなかったがな?」
エルミナの猛攻は概念融合も領域纏いも使っていないどころか、そもそもステータスにおいても実力のほんの一部しか出していなかった。
だが、だとしても、先程までのロロに対処されるほど甘くはない。
それは…
「くかかかっ!!神域纏いだぁ!?オルメテウスが見たらひっくり返るぞ?天才のアイツでさえ、気の遠くなるような時間がかかったそれを………お前アレか?ラグアに1万年ぐれー前に暇潰しに借りた漫画ってヤツに出てた、ピンチになると何故か突然強くなるヒーローってヤツか?あ?」
驚愕と狂喜…
二つの感情が無い混ぜになり、エルミナは興奮して叫んだ。
狂喜…
そうエルミナは喜んでいた。
思えばどれだけの長い時間…全力で戦うに値する相手に巡り合わなかったのだろう。
自分以上の実力者はもちろんいる。
自分が仕える主であるラピロアなど、その典型だろう。
だが、ラピロアにしても…今ではラグアもそうだが、戦えば負けるのはわかりきっている。
結果のわかった勝負ほどつまらないものはない。
勝つにしろ、負けるにしろだ。
ようやく全力を出せる相手…
エルミナは心の底から狂喜した。
イカレた戦闘狂…
それも勝つか負けるかのギリギリの勝負のみに喜びを感じる命を対価にしたギャンブラー…
それこそがアラウザルゴッド、エルミナの剥き出しの本性だった。
ゴゴゴゴゴッ…
宇宙がまるで唸っているかのように鳴動する…
「くかっ!!くかかかかかかっ!!」
エルミナは狂ったように笑い出す。
「最高だな?てめえ…こんなに心が躍るのは、アラウザルゴッドになってはじめてだっ!!なあ?てめえもそう思うだろー?なあっ!?」
「………ラグア…エリス…リーゼ…ミグ…そしてお前…天然のアラウザルゴッド達が何故アラウザルゴッドになれたかなんとなくわかった…よくも悪くも気狂い共の集まりだな?」
ロロは呟いた。
「さあ、予告まではあと10秒だ。オレは有言実行だぜ?10秒後に立ってるのはオレかお前か…オレに見せて見ろよっ!?命がもっとも輝く綺麗な瞬間は、互いの命を焼き尽くさんと燃やし合う時だっ!!」
エルミナは言いながら抑えていた力を全開にするのだった。




