第979話白と青のグラデーション44
一方その頃…
ロロ・ベアトリスクとエルミナの戦いは一方的な展開になっていた。
「くかかかっ!!まだ5秒だぜ?このままじゃ予告通りだな?あ?エリスのヤツ…まあ、ありゃ決まりだな?」
ロロを相手に一方的にまるで暴風雨のごとき攻撃の嵐を繰り出しながら、エルミナは呟いた。
クソッ…
他に気を払っている余裕はないが、誰か負けたのか?
ロロにとってエルミナは強大な敵どころか、勝ち目皆無の化け物だ。
他の味方の状況がわからないのも仕方のないことだった。
そしてエルミナの嵐のような攻撃はロロにとっては、致命傷を避けるのが精一杯で、恐ろしい勢いで神格エネルギーを削られているが、エルミナからしてみればまるで本気でないのは雰囲気をみればわかる。
これが天然のアラウザルゴッド…
ミグは…いや、アイツも今ではその境地に至っているが、アイツはこんな化け物共と渡り合ってきたのか…
自身がアラウザルゴッドに至ってはじめてコイツのヤバさに気づいた…
俺はここまでか…
ロロは自重気味に思った。
「おいおい?諦めんなよ?まだ予告まで14秒もあるんだぜ?外を気にしている余裕はなさそうだからオレが教えてやるよ?ミュラとジオは死んだぜ?」
ミュラとジオ…
自分の妹分と弟分が死んだと聞いてもなんの感慨も湧かない…
いや、感慨が湧く余裕すら自分にはないのだ。
若干攻撃の手が緩んだのはエルミナの慈悲と言えば聞こえはいいが、そもそもあからさまにこちらを舐めているからこそ、こんなことをするのだろう。
悔しい…
自分が情けない…
だが、どうすることもできない。
アラウザルゴッドが理不尽なイナゴだというが、これほど的を射た言葉はない。
自分はこの理不尽な力にどうすることもできないのだから…
「ちっ…マジで諦めてやがる…つまんねーな?オレが遊んでやってるっつーのによお?…もういいや。死ねよ?」
エルミナの猛攻が再開する。
そうか…
俺は死ぬのか…
その時だ。
ぼんやりとミュラとジオ…
妹分と弟分の顔が浮かんだのは…
俺は…
コイツらに顔向けできるのか?
何の役にも立たないまま地獄でコイツらに会った時にバカ丸出しの兄貴面をするのか?
そんなクズは生きてる資格もアイツらと同じところに行く資格もねえっ!!
その強い感情…
それがロロをアラウザルゴッドとして次のステージへと誘った…




