第978話白と青のグラデーション43
時は少し遡る。
アラウザルゴッドと化したギゼルとミストはぐるりと大量の敵に囲まれていた。
「なんなんだよーっ!?どう考えてもバランスがおかしいだろっ!!なんで俺達のところにこんなバカみたいな数が来るんだよっ!!」
「…」
話すことのできないミストもまたこの状況には困惑しているようだ。
その時だ。
「くくくっ、なんだお前?自分達が1番警戒されてるとでも思ってんのか?自惚れんな?逆だ。オレ様達みてえな、単体戦力では微妙だが、集団でかかればそこにいるモヤモヤしたヤツぐれえなら、フルボッコにできる連中に囲まれてんだよ?」
短めの真っ白な髪…
真っ赤な瞳…
それはリーゼをそのまま男にしたようなものだった。
「お前は…」
ギゼルはそう問いかける。
「オレ様はルーグ・オルガット・イグロシアル。親父はラグア・エルライド・イグロシアルって言えばわかるか?」
「ラグアの息子…だが、一度に襲い掛かれる数はたかが知れてる。二人で対応すれば…」
現在この場には残ったイグロシアル最高戦力…
ルーグ達、準最高戦力…
白神柱…
九神将…
殺戮炎舞…
ミーラルの配下…
これでもかという数の戦力が配備されている。
それでも二人でかかれば…
だが、そんなギゼルの考えは甘かった。
「二人?なんの話だ?お前の相手は僕一人でお釣りがくる」
集団の奥から1人の人物がゆっくりと現れる。
自信満々で出てきたその人物はもちろん、シャドウラルファが作った危険人物のリスト入りしている。
「虚帝、メフストニブル…」
ギゼルはその名を呟いた。
「くくくっ、ラルファ?総指揮は姐さんがやってくれるんだよな?オレ様は好きに動くぜ?」
「はい。ルーグお兄様はそちらの方がいいかと…他の方々はリオーナ様の指揮に従ってください」
ラルファ…シャドウでないオリジナルのラグアの娘の一人であるその存在は言った。
厳密に言えばラルファの立場ならリオーナのことは叔母と呼ぶべきなのだが、リオーナはそれを許さない。
ルーグですら、姐さんと呼んでいる状態だ。
そんな会話を皮切りに九神将をはじめとした、ラグアの同盟勢力達も陣形を展開する。
こちらはリオーナに指揮権がない為、指示を出したわけではないが、連携をするつもりはあるようだ。
こうして、ギゼルとミストVSラグア陣営連合軍との戦いが幕を開ける…




