第977話白と青のグラデーション42
時は少し遡る…
ミグ陣営のシーラ・ベルネイアは一直線にラグア陣営の星王、シーラ・ベルネイア・イグロシアルに向かって進んだ。
もっともたどり着くことはできなかったが…
「おやおや?狭い宇宙、そんなに急いでどこへ行く?ってヤツですよ?」
ラグアがいたらどこの交通安全標語だと突っ込むところだ。
そんな明らかにふざけた一言…
無論ラグア陣営で最終決戦にも関わらずここまで緩い調子なのは一人しかいない…
「…邪神、エリローズ…」
シーラはその名を口にした。
「えー、こちらは宇宙検問所となっております。ただいまの時刻を持ちましてここから先は全面通行止め…いえ、訂正します。こちら側からのみの一方通行となっております。ご理解いただけましたか?」
「なめるな…化石女…」
シーラは額に青筋をたてる。
どこからか取り出した婦警さんのコスプレを着たエリローズの行動が意味がわからなくても、明らかになめられていることは悟ったのだろう。
「化石?採掘ですか?ここから先は保護区域となっており…失礼ですが、資格証のご提示を…」
「死に晒せー!!」
ふざけた調子を変えないエリローズにさすがにブチギレたシーラは襲いかかるが…
「ふふふっ、せっかちですね?残念ながら公務執行妨害の現行犯です。国家権力を発動します」
何が国家権力だっ!!
ただの消滅の領域纏いだろーがっ!!
というラグアの突っ込みがないままエリローズは消滅の領域纏いを発動させる。
「概念融合っ!!水天っ!!」
シーラの意思によって突如現れたそれは形を変化させながら、エリローズの逃げ場を封じるように襲いかかる。
「ふふっ、舐めているのはどちらですか?ラグア様でさえ最終的に捕まってしまった国家権力をあまり舐めていると痛い目にあうのはあなたの方ですよ?」
今回のエリローズはもはや警察ネタで通すようだ。
もっともシーラには何を言っているのかはさっぱりわからないが…
だが、ふざけていてもエリローズの領域纏いは本物だ。
水天の概念融合はエリローズに触れたところから跡形もなく消滅する。
そのまま反撃に移るエリローズの一撃をシーラはなんとか躱す。
消滅の領域纏いの恐ろしさは折り紙つきだ。
触れれば自分程度の神格エネルギーなど容易く消滅させられてしまうだろう。
こうして、消滅の領域纏いを使っているにも関わらず、何故か消滅せずに残っている婦警さんコスプレのエリローズと、逆上しながらも以外と冷静なシーラと側からみればシュールな戦いがはじまった。




