第976話白と青のグラデーション41
時はほんの少しだけ遡る…
「グエッ!?」
「ゲホッ!?」
「ウグっ!?」
宇宙空間内に定期的にミュンの断末魔の悲鳴が響き渡る…
「さっきの威勢はどうした?え?わっちみたいな小物に手も足も出ずに無様に引き裂かれるだけかい?」
アラウザルゴッド、ミーラルは一応同じくアラウザルゴッド、ミュン・ゾフィスを相手に惨殺とも呼べる蹂躙を繰り返していた。
もはやこんなものは戦いですらない。
もっとも、ラグア、ラピロア陣営合わせた中で唯一、はじめから自分が勝てる相手だけを虐殺し、戦いなどそもそもするつもりがないのはミーラルぐらいだが…
「まだ復活するんかい?黄泉の神ってのもなかなか可哀想なもんなんなー?ならそのままでいいから聞け。わっちだって強者と命をかけて戦うことに意味がないとは言わないんよ?組織にとって利のある存在はそうゆうヤツよ。けど、そうじゃないんよ?」
ミュンは悲鳴をあげるだけで答えない。
いや、答えられないと言った方が正しいか。
ミーラルは話しながらも一切攻撃の手を緩めない。
「わっちは弱小の神だった頃から、常に強者の影に隠れて安全圏でゴミの処理をしてきた…当時わっちが仕えていた神はわっちを称えたさ。数字だけ見ればわっちの成果は誰よりも飛び抜けていた」
ミーラルは続ける。
「けど、アイツのアホなところはわっちにゴミ処理を任せてるうちに自分が強者でなくなっているのに気づかなかったことよ?長生きしすぎで頭がボケたんだろーね?わっちとわっちの配下にぐるりと囲まれて何が起きたのかもわからずに死んでいったあの姿は、今でも思い出すたびに笑えるよ」
ミュンの悲鳴が小さくなる…
激痛の連続で意識が怪しいのだろう。
「そんな時よ?アラウザルゴッドとなったわっちがラグア様に…そしてラピロア様に出会ったのは…はじめてみた時からわっちは悟ったんよ?あれは到底わっちに寝首をかかれるような生易しい存在じゃない。隙あらばかいてやってもいいが、そんなチャンスは未来永劫訪れないだろうね?わっちは冒険はしない主義なんよ?」
ミーラルはそこで一度言葉を切る。
「ならわっちの成すべきことは弱小だった頃と変わらない。わっちはわっちの信じたやり方で上を目指す。強者を倒せばそれは達成感はあるだろう。けどそんなものは所詮は自己満足よ?わっちは上がどうすれば喜ぶか…いや、どうすればよく見えるか知ってるんよ?……最後までご視聴いただき感謝するんよ?じゃあ、死ね」
ク…ズ…
最後にミュンの口元がそんな風に動いた気がしたが、ミーラルは構わず引き裂く。
知ってるさ。
そんなものはわっちが1番よく…
ミーラルはそんなことを思いながらミュンにトドメを刺すと次の戦場に移動する。
ぐるりと周囲を見渡したミーラルが満身創痍のシャドウラルファのところに行くのはもはや必然だった。




