第973話白と青のグラデーション38
時は少し遡る。
エリスとミュラ達がまだ戦闘をはじめる前…
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シャドウラルファは1人の存在と向かいあっていた。
「見ない顔ですが、その容姿…おそらくは九神将のトップ…暴帝のサーリーナというところでしょうか?」
「ほう?妾を知っているか…誕生したばかりのイナゴよ…」
言いながらサーリーナはキツめの赤い瞳でシャドウラルファを見据える…
特徴的な紺色の髪は風もないのに、ゆらゆらとまるで生きているかのように動いている。
「ええ、敵方の危険人物は把握していて当然です」
対するシャドウラルファも、サーリーナから視線を一切きることなくそう答える。
「フフッ…危険人物か…面白い…まさか誕生したばかりとはいえ、真のイナゴにそう言われる日が来ようとはな?長く生きてみるものだな?」
シャドウラルファのその言葉にサーリーナは本心からそう言った。
ラピロアに普段、老害と揶揄されているサーリーナはアラウザルゴッドは別の次元の生き物だと考えている。
自由に暴れられる今の立場に不満はないが、当然アラウザルゴッドに対する憧れはある。
サーリーナは神格エネルギーを全開にする…
「全力でいくぞ?老害の妾の力が真のイナゴ相手にどこまで通じるか…見せてもらおう…覚醒っ!!領域纏い、概念、暴魔っ!!」
核玉の数値で60を超える圧倒的な神格エネルギー…
全てを破壊することに特化した暴魔の領域纏い…
どれをとってもサーリーナは全宇宙最強クラスの一人だった。
そして、ラピロア…アゼルメーテ…ラグア…エルミナ…
強大なアラウザルゴッド達と合間見え…
時には戦ったきたサーリーナには誕生したばかりだとはいえ、アラウザルゴッドに対する油断など微塵もない。
かつてアラウザルゴッドを夢見て走り続けた18柱帝…
偽りの神帝ティナ・ポロワ亡き跡、残った最後の2柱の一人…
暴帝のサーリーナに死角はない。
「……どうやら私はあからさまなハズレを引いたようですね…」
そう呟いたシャドウラルファも構える…
神格エネルギー差は歴然…
アラウザルゴッドという点以外は、全てサーリーナが絶対的に優勢な状況…
圧倒的に不利な状況の中、戦いははじまろうとしていた。




