第971話白と青のグラデーション36
エリスがトリップしている最中…
ミーラルの配下はともかく、イグロシアル最高戦力下位勢には不穏な空気が流れる。
下位勢のそれぞれがアイコンタクト…
その意味は簡単だ。
いつもの病気がはじまったぞ?
誰かなんとかしろ!!
という話だ。
互いのアイコンタクトの末に動き出したのは、ライナー、シュドレ、シオンの三人…
一応全員が最高幹部だが、他のメンバー…星王達からしてみればこの中では比較的立場の低いもの達だ。
「「エリス様っ!?」」
「む?そうであったな…私はそんな偉大なるラグア様の任務の真っ最中であった…なんたる不覚…なんたる不徳…申し訳ございませんラグア様。このたびの失態は即座に此奴らの首をもって挽回して見せますっ!!」
トリップから抜け出したか…と言えば微妙なところだが、ライナー達のその言葉でエリスは一応は戦うつもりにはなった。
「おい…コイツ怖えーよ。別の意味で…」
「いまさら気づいたのか?アレは元々ああだったぞ?だがおそらく…リーゼはエリスがああなるのを想定して部下をつけたのだろう。わかっていてもあれは流石に止めようがない。ヤツらを止めれば結局戦闘がはじまってしまうからな?」
言いながらミュラとジオは構える…
その時だ。
エリスの口元が僅かに動いたのは…
来る…
そう判断したミュラは即座に体をのけぞらせた。
「ぐぅぅぅぅ!?」
見えなかった…
何が起きた?
その刹那の間に自分の腹は思い切り抉られていた。
「概念融合、生命!!」
ミュラはとりあえずエリスに抉られた腹を再生させるが、失った神格エネルギーまでは戻らない。
「ジオっ!!」
ミュラは叫んだ。
その一言でミュラが何を言いたいのかを即座に察したジオは動き出す。
「概念融合、神氷っ!!」
「ゴッドバーストっ!!」
ジオの概念融合をエリスにぶつける…
もちろんこんなもので倒せるなどとは思っていない…
ただの時間稼ぎ…
ミュラが回復するまでの…
そのつもりだった。
だが、ミュラは気づくべきだった。
いや、いきなり腹を抉られて思考力が鈍ったのかもしれないが、そもそもエリスの動きに反応すら出来なかったという事態の本当の意味を…
ぶつける以前に概念融合など当たるはずがなかった。
そう。
ゴッドバーストから復帰したミュラが最初に見たものはジオ…
長い付き合いである仲間が爆散する悲惨な光景だった。




