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第970話白と青のグラデーション35


さらに同じ頃…


「で?俺らのとこにはコイツか…ミュラ?どう思う?二体一ならなんとかなると思うか?」


「バカを言うな。相手はラグアの腹心だぞ?向かいあっているだけで実力差がビリビリ伝わってくる。それに二体一なものか?なら、あれの相手は誰がする?」


ミュラとジオはそんなやりとりをする。


ミュラ達の周りにはミーラルの配下の半数…

そして、ライナー、シュドレ、シーラ、フィローラ、バルト、シオンと言ったイグロシアル最高戦力下位勢がぐるりと取り囲んでいる。

本来、アラウザルゴッドと化したミュラ達にとってはこんな連中は敵ではない。


だが、それは目の前にいる、ラグアの絶対の腹心…

星王、エリス・イグロシアルが一人いるだけで180度話は変わってくる。


もしもヤツらに一瞬でも注意を払おうものなら、この女はその瞬間自分の命を刈り取っているだろう。

ミュラの脳裏にはそんな確信にも似た考えが浮かんだ。


「さて、貴様らの相手は私がさせてもらおう。ゴミ共?何か言い残すことはあるか?忘れていなければ気が向いた時にでもラグア様に伝えてやってもよいぞ?」


あからさまになめている…

こちらに負けることなど微塵も考えていないからこそできるその発言…

だが、この実力差では仕方がない。

なら自分にできることは…


「お前の主に伝えるがいい。ミグは…妾の親友は甘くはないと…」


できるだけ会話を引き伸ばしてアゼルメーテ様が戻るまでの時間を稼ぐ。

アゼルメーテ様が戻れば向こうにもリーゼが戻ってしまうが、この状況に比べれば遥かにマシである。


そんなミュラの言葉にエリスは笑い出す。


「くくくっ、何かと思えばそんなことか?安心しろ。私がそんな事をラグア様に伝えるよりもラグア様があのゾンビのようなガキを宇宙の塵に変える方が早いからな?」


「…お前の方がガキだろーが」


そんなエリスに対してジオはそう言った。

ジオもミュラの狙いがわかったようだ。

だから、お前とエリス単体でガキと言ったのだ。

コイツのラグアへの狂信ぶりは異常だ。

例えばお前やラグアなどと言ったら最後、その言葉が戦闘開始の合図になりかねない。


「…ほう?そういえば貴様らはそれなりに長い付き合いだったか。ああ、思い出す。今でもラグア様が私の前に現れたあの日を…矮小な…それこそ貴様ら以下のゴミに過ぎなかった私をラグア様は拾ってくださった…忘れもしない…『俺と共に来い。拒否権はない』あの一言…ああ、尊い…なんて、神々しい…それが…その一言があったからこそ今の私があり、あの日、ラグア様は永遠に私の唯一神として降臨なされた…」


エリスの悪い癖…

トリップがはじまった…


エリスの中でその日の出来事は完全に美化されているが、実際にはそんな美しいものではなく、小便を漏らして命乞いをするエリスにラグアがした発言がそれだっただけの話だ。


もっともその当時、エリスやラグアも含めていったい誰がエリスがこうなることを想像できただろう。


ミュラは表情には出さずに内心でほくそ笑む。

あとはこのトリップ状態ができるだけ長く続くように進める。


ミュラはその為に頭を回転させるのだった。

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