第968話白と青のグラデーション33
「さて、若干遅かったけど敵はバラバラに割れたみたいね…あたしは戦闘より、司令塔としての役目の方が大事だから…まあ、入るとしたらここね」
リオーナはそう呟きながらエルミナの隣に立つ。
「ラグアの姉貴でリオーナだったか?オレのとこにきてもすることなんかねーぞ?」
「ええ、知ってるわ。それが目的だから」
エルミナとリオーナはそうやりとりをしながらアイコンタクトを交わす。
リオーナの意図はエルミナにも伝わった。
「指揮なー?まあ、そいつはオレには絶対にできねー役目だしな?」
自由奔放な性格のエルミナは自らの配下である殺戮炎舞でさえ、まともな統率などしていない。
それでも殺戮炎舞がエルミナに絶対の忠誠を誓っているのは、エルミナが他でもない全宇宙最強の一角である証明に他ならないが…
「くかかかっ!!遊び相手は盛りだくさんだな?選り取り…」
エルミナがそう言いかけて手始めに戦う相手を選ぼうとした時だ。
エルミナの前に1人の人物が立ちはだかる。
「なんだてめえ?オレとやる気か?」
「…俺がやるしかないだろう…曲がりなりにもお前と多少の勝負になるのは俺だけだ」
エルミナにそう答えた人物…
ロロ・ベアトリスクをエルミナは好戦的な瞳で見据える。
「甘えな?ちっとはやるみてえだが、その気になればてめえ程度20秒あればお釣りがくるぜ?」
「…わかってる…だが俺も退くわけにはいかないっ!!」
誤解してはいけない。
エルミナは20秒と言ったが、それはロロのことを決してなめているわけではない。
むしろ、神…
それもアラウザルゴッド同士の戦いでエルミナに20秒とまで言わせしめたロロはむしろ買われていると言っても過言ではない。
「くかかかっ!!その意気はよし。実際のところ時間をかけても問題ねーが、ラグアが首を長くして待ってるだろうからな?宣言通り20秒で終わらせてやらあっ!!」
「覚醒っ!!」
「ほう?なったばかりでもう…いや、神毒の覚醒か…だが残念だ。20秒の宣言にはなんの変更もねえっ!!」
エルミナとロロはお互い通常ではありえない速度で肉薄する。
ラグアとミグ…そしてアゼルメーテとリーゼが不在の今、現状では両陣営最強同士の戦いが今はじまる。




