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第966話白と青のグラデーション31


「ぐっ…」


「ちっ!?まあ、掠っただけでも上出来か…これでほぼ勝負はついたでしょ」


リーゼは言いながら完全思考を解除する。


アゼルメーテの頬にはリーゼの全身全霊がこもった拳による一撃で一筋の傷がついている。




我が負けるだと?

ラピロア以外の存在に…

これは我の驕りが招いた結末か?

決して白天も…そしてリーゼも…我は決して侮ってなどいなかった。

いや、心のどこかで侮っていたのかもしれん…


我は二度ラピロアに敗れた…

一度目は衝撃だった。

当然だ。

帝と呼ばれる存在でさえ、所詮我からしてみれば格下に過ぎなかった。

唯一、オルメテウスだけは我と引き分けるに至ったが、あれを超えるのは容易い。

そう判断して我は神帝ラピロアに挑んだ。


結果は惨敗…

絶望…

それも理不尽とも言える権能の概念の恐ろしさを目の当たりにして、我のこれまでの自信は粉々に打ち砕かれた。

強さこそ全てとして、生きてきた我に強さをとったら何が残ろう?

権能の概念はそんな我を完膚なきまでに打ち砕くには十分だった。


そんな我もミグと出会って多少価値観が変わったが、それでもラピロアに植えつけられた権能の概念は絶対だと信じていた。

権能に打ち勝つのは権能のみ。

そう信じて疑わなかった。


だからこそ一度きりとは言え、権能持ちがいないこの状況下において権能という切り札があるミュンがいる時点で…そしてそれを唯一防ぐことが可能な白天はミグに…

ラピロアは動けないこの状況で我は勝利を確信していた。


そうか。

ようやく得心がいった。

負けて当然だ。

あの時…はじめてラピロアと合間見えた時に…少しでも権能を疑っていれば…

権能は無敵ではない。

その事実に気づいていれば少しは結果は変わっていたかも知れんが…


無様…実に無様…


アゼルメーテは生まれてはじめて表情を変える。

決意が固まった。

その表情は笑みだ。


これにはさすがのリーゼも目を見開く。


「へぇ?お前笑うんだ?」


「見事…誇るがいい。我に勝ったのはラピロアを除けば貴様がはじめてだ」


「表情と心の中が全くあってないけど?」


「くくっ、ただでは死なん。せめて我に大切なことを気づかせてくれたヤツに多少の恩は返さねばならんからな?」


それから何かが変わったアゼルメーテの動きは目を見張るものだった。

リーゼの一撃を食らわないのはもちろん、ミグの攻撃どころか三島煌一からの被弾も驚くほどに少なかった。


そして遂に凶悪なアンチステータスゾーンが解ける…


そこには…

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