第962話白と青のグラデーション27
轟音…
そしてその意味を一瞬で理解したリムリットは笑みを浮かべる…
「さすがはマスター…このリムリットは、偉大なるマスターに生み出されたことを誇りに思います…」
リムリットのその様子から遅れてこの轟音の原因がラグア…それも良い方向に転がったことを悟ったシーラは、先程リムリットに軽く叱られたことも忘れてニヤリと笑う。
「ふぅん?これは大将がやったんだ?問題がなければ聞いても…」
『おそらく相手にも悟られているとは思いますが、悟られていなければミスミス情報を渡すだけになるので、ここからは神通を使います』
リムリットは神通を発動すると、ラグアがミグの権能の概念を打ち破った事実を伝えた。
リムリットからその事実を知ったシーラはその笑みをさらに濃くする。
「ならウチも負けていられないね?ここからはウチ一人で…」
「…あなたは私の話を聞いていたのですか?」
先程の問答を無に返すシーラのその発言にさすがのリムリットも呆れて一瞬間が空いた。
「ごめんごめん、冗談だよ。二人で協力してやろーよ?ね?」
さすがにリムリットの怒気に気づいたシーラは慌ててそう言い直した。
「…まあミグよりは少しはマシな様ですね…彼女だったらおそらくマスターの言葉以外、一切聞く耳を持たないですし…まあ彼女が苦戦するような事態に陥るなら、私が加わったところで厳しいと言わざるおえませんが…」
星王、ミグ・ヒピー・イグロシアル…
神星帝ラグア・エルライド・イグロシアル直属、リムリット神衛団、団長、リムリット…
イグロシアル最高戦力…それも共に上位勢…
同じ最高戦力とはいえ、ライナーやシーラといった下位勢に属する者達とは比べものにならない実力を持つ…
だが、そんな上位勢の中でも、当然実力差はある。
中でもリーゼ、エリローズ、エリス、ミグ、リオーナの5人は確実にリムリットよりも実力が上だ。
まあ、今はそんなことはいい。
マスターの命令を遂行しましょう。
リムリットはそう自己完結する。
〜
さて、先程から一転、状況が悪くなったのはミュラ達だ。
シーラ一人ならなんとか勝てそうではあったが、そこにリムリットまでが加わっては話が変わってくる。
幸い、シーラとリムリットはこちらをなめているのか、まだ仕掛けてこないで敵を前に長々と話し込んでいる。
どうする?
ミュンにあれを使わせるべきか?
同じ使うなら戦闘がはじまってから使うよりは今使った方がまだマシだ。
その方がその場凌ぎの使い方をしなくて済む…
だが…できれば来たるべきリーゼとの戦いまでは温存したい。
ミュラは迷う。
ミュラが迷っているうちにリムリットとシーラの会話が終わったようだ。
二人は互いにこちらを敵として見据える…
強い…
わかっていたことだが、リムリットは神格エネルギーだけでもシーラとは比べものにならない。
リムリットとシーラがまるで示し合わせたかのように動き出そうとするその刹那…
ミュラはついに決断を下す。
ミュラが出した答えは…




