第960話白と青のグラデーション25
最初の接触…
「領域纏い、概念、時空っ!!」
ロロはいきなり切札を切る。
その瞬間、ライナーの動きは止まる…
否、その言い方は正しくない。
たしかにライナーはロロの目から止まっているように見えた。
領域纏いにより、止まった時を動き回るロロ…
その一撃がライナーに刺さる寸前…
「うおっ!?あぶねっ!?」
ライナーはその一撃を紙一重で躱す。
だが、それに驚いたのはロロの方だ。
ロロの時空の領域纏いは、一定以上の神格エネルギー差がない限り通用する。
オリジンゴッドは意思を持った概念の塊…
さすがに神格エネルギーに一定以上の差がある相手には、時空の領域纏いは通用しない。
正確には通用はするのだが、そのオリジンゴッドの持つ概念の強さに押し負けて長くは持たない…
とても実戦レベルからは程遠い…
だが、ライナーの神格エネルギーはロロとそこまでの大差はない。
一応ライナーの方が上ではあるが、領域纏いが通用しない程の差ではない。
にも関わらず、何故このような自体が起きているのか…
「時空の領域纏いが通用しないだとっ!?」
ロロはそう叫ばずにはいられなかった。
「さすがにバカな俺でも種明かしはしねーぞ?」
「ちっ!?」
返す刀のライナーの両腕から放たれる二連斬撃をロロは一発は躱し、もう一発は神格エネルギーを集中させて弾き飛ばす。
「私もいることを…!?っ」
ロロとライナーの戦いに横から切り込んだシャドウラルファだが、ライナーは振り向きもせずに斬撃を飛ばす。
シャドウラルファは咄嗟に反応はしたものの、指先を斬り飛ばされる。
「ラルファっ!!一旦退けっ!!」
後退するシャドウラルファにライナーは追撃を仕掛けようとするが、そこにロロは割って入る。
剣と素手…
人間同士の戦いならどちらが勝つかは決まりきっているが、これは神…それも成り損ないのイナゴ同士の戦いだ。
ライナーとロロの激しい攻防が、宇宙空間に響く…
〜
クソっ…
化け物め…
それがしだいに防戦一方に追い込まれつつあるロロのライナーに対する感想だ。
神格エネルギーはそこまで変わらない…
ラルファといっしょなら勝てるとみるのが普通だろう。
だが、アイツの動きは普通じゃない。
ロロにとっては神級武器やら、ゴッズウェポンなど棒切れと変わらない。
だが、アイツは違う。
アイツの両の剣はまるで意思を持ってこちらを殺しにきているかの様…
それぞれが独立して、ライナーと1対1のはずが、まるで3対1で追い詰められているかの様に感じる。
概念?
さっきから幾度となく多種多様な概念を使っているが全て剣の一振りで切り裂かれて終わりだ。
もはやあの剣はなんでも切断すると思った方がいいぐらいだ。
一旦退いて体勢を立て直したいところだが、それすら許してくれそうにない。
どうする?
このままでは…
ロロは考えるのだった。




