第955話白と青のグラデーション20
時は少し遡る。
リゼルがミュラ達に敗れるより少し前…
〜
俺はミグと激戦を繰り広げていた。
勝負は既に第三ラウンド…
互いの神格エネルギーは10万…
アゼルメーテと同格クラスの戦いにまで発展していた。
「概念融合、炎舞っ」
「なめんなっ!!概念融合、神氷っ!!」
俺の炎舞の概念融合に対し、ミグは神氷の概念融合で相殺させてから俺に触手の連続攻撃を仕掛ける。
「神帝の絶対…」
「ちっ!?」
俺の絶対領域の発動の気配を読んだミグは触手を引っ込める。
うん、お互い全力からは程遠いはいえ、決め手がない。
ミグとしては俺に触れさえすれば勝ちだからガンガン物理攻撃を仕掛けたい場面だ。
だが、俺の神帝の絶対領域がある限りそれは簡単ではない。
効果範囲内にミグの体の一部…
例えば触手でもそうだが、それが効果範囲内に入った時点で神格エネルギーの吸収がはじまってしまう。
さすがのミグもそんな状況で無限転生に踏み切るほどアホではないか。
俺は思った。
実際のところミグが無限転生に踏み切らない理由はもう一つある。
ミグはラグアの戦い方…
頑なに権能の概念を使わずに、神格エネルギーをこちらに合わせて小出し解放してくる戦法に違和感を感じていた。
今の神格エネルギーはちょうどアゼルメーテと同格…
でもラグアに権能の概念を使った気配は全くなかった。
つまり今のラグアの神格エネルギーはほぼ確実と言っていい程、ラグアの全力ではない。
そして全力を出す前に時間制限のある無限転生を使ってしまうのがマズイのは、いくら頭の悪いあたしでも理解できる。
ミグはそんな事を考える。
俺はミグとの攻防を繰り返しながら、神の千里眼を発動させる。
どちらかが概念融合を切ったら対となる概念融合で相殺…
俺は物理攻撃は出せないが、ミグの物理攻撃がきたら神帝の絶対領域をチラつかせる…
はっきり言ってミグとの攻防はよくも悪くも進展がないやりとりだ。
だからこそ、それぐらいの余裕はある。
リーゼの分体…いや、ゴッズクローンと精神融合して既に別物になっているヤツは負けたか…
まあそちらはどうにでもなるだろう。
イグロシアル最高戦力や準最高戦力は、リゼルとか名乗っていたアイツとは格が違う。
だが、リーゼの予想通りならミュンはおそらくアレを持っているだろうから、ここは抜かせるわけにはいかない。
アレを使われて抜かせる分には構わないが…
さて…リーゼは…
「ラグアぁぁぁっ!!よそ見してんじゃねぇぇぇ!!」
ミグに神の千里眼を使っているのが気付かれたか。
どうせワンパターン……いや…
俺はミグの権能の概念の発動の気配を感じ取ると、そちらに注意を払うのだった。




