第949話白と青のグラデーション14
「「覚醒っ!!」」
初手…目にも止まらぬ速さでリーゼとアゼルメーテが互いに動き出したところからはじまった。
まずはお互い素のステータスによる一撃を叩きこむべく迫る。
動き自体はアゼルメーテの方が速い…
アゼルメーテの一撃がリーゼに刺さろうとした時だ。
突如リーゼが意味不明な起動により、アゼルメーテの攻撃を躱して逆にアゼルメーテの懐に入り込む。
「真覚っ!!」
身の危険を感じたアゼルメーテは真覚で距離をとる。
一瞬前までアゼルメーテがいた場所はリーゼの無数の触手が貫いている。
「うーん…練習はしてるんだけどまだまだだね。叔父さんの動きはやっぱり難しいや。どうしても搦め手に頼っちゃうよねー?」
「!?っ」
逃げた先に仕掛けられたリーゼの天刃の概念でアゼルメーテはかすり傷を負う。
さらに意識の外れたところにエリスとエリローズの攻撃が襲うが、アゼルメーテはそちらは防御すらせずに直撃を受ける。
アゼルメーテの神格エネルギーがほんの僅かに削がれる。
「へぇ?ミグとは違ってそこそこ頭は回るんだ?エリスやエリローズを殺りにいってくれれば楽だったんだけどな?」
「そいつらの攻撃はともかくお前の一撃は食らうわけにはいかない」
リーゼのその言葉にアゼルメーテはいつもの無表情でそう答えた。
概念のかすり傷は問題ではない。
そんなものは誤差だからどうにでもなる。
エリスやエリローズといった者達の攻撃もそれと同義だ。
だが、リーゼ本体の攻撃だけは絶対に食らってはいけない。
一撃の威力もさることながら、食らってしまえば最悪挽回の機会すら与えられずに完封される。
ほんの数合打ち合っただけでアゼルメーテがそれに気づけたのは、アラウザルゴッドの内の一体として君臨し続けた全宇宙最強の一角の勘だろうか。
〜
さて、どうする?
予想はしてたけど純粋な力じゃきまりそうにない。
まあ、試してないことはまだまだあるし今日の為の準備は完璧だ。
共鳴を切られたから詳しくはわからないが、パパは無理に決めようとしない限りはミグが付け入る隙はない。
焦ることはない。
リーゼはいつも通り最適な手札を切りつつ敵を追い詰める…
それだけでいい。
リーゼはそんなことを思いながら戦闘を続けるのだった。




