第948話白と青のグラデーション13
時は少し遡る。
リゼル…いや、この頃はまだリーゼの分体がミュラ達を相手に戦闘をはじめた頃…
リーゼ達とアゼルメーテの戦いの火蓋も切られようとしていた。
〜
「さーて、可哀想に…お仲間はリーゼの分体とゴッズクローンにかかりきりになっちゃったね?ま、孤高のアゼルメーテだから一人の方が似合ってるのかな?」
「ほざけ、白天の娘…」
リーゼの挑発に対し、アゼルメーテはそう答えるがそれは突然起きた。
バキッ…
それはアゼルメーテの力の解放により、宇宙空間が軋む音だった。
「一人か。たしかにずいぶんと懐かしく感じるな。ミグと我が志を同じくして共に歩み出したのは僅か数万年前だというのに…」
バキバキッ…
宇宙の軋む音はさらに激しさを増す…
まるでアゼルメーテの力の波動に耐えきれずに壊れてしまうかのように…
「ねえ?どんな気分?その僅か数万年の間にパパにここまで追い込まれて最終決戦なのに戦力外通告されてこんなところでリーゼ達と遊んでる気分はさ?」
「…お前は相手を煽らなければ会話ができないのか?」
リーゼの言っていることも半分は事実だった。
権能の概念を持たぬ者が権能の概念持ち同士の戦いに割り込んでもできることはかなり限られる。
もっとも単体では勝つことはできなくても、ミグという権能持ちが仲間にいる場合、何もできなくはないのがアゼルメーテがアゼルメーテたる所以…
神帝ラピロアに次ぐアラウザルゴッドの中でも2番手である、孤高のアゼルメーテなのだが…
「うーん、どうだろーできなくはないけど味方以外にはこういう話し方をするのはたぶん癖だろうね?まあ、次にこんな感じの機会があったら考えてみるよ。まあ、変えるかはわからないし、そもそもお前と話すのはこれが最後だから仮にリーゼが話し方を変えたとしてもそれを見る機会は未来永劫訪れないだろうけどね?」
バキバキバキバキバキバキッ…
その瞬間、宇宙の軋みがさらに加速する。
何故か?
それはリーゼが力を解放したからだ。
「素の神格エネルギーは負けてるか…オルメテウスとやりあう前だったらきつかったかもね?エリスとエリローズはリーゼについて。他は要所要所で共鳴の概念で指示を出すからそのつもりで。パパとのつながりは切られちゃったけど共鳴が使えなくなったわけじゃないし?」
こうして総神格エネルギー
アゼルメーテ約10万5000…
リーゼ約8万7000…
覚醒神の中でも頂点にもっとも近い両者の戦いが幕を開ける。




