第947話白と青のグラデーション12
こちらに真っ直ぐ向かってくるミュラ達…
リゼルは千手観音モードを展開して迎撃体制をとる。
「抜かれるにしてもさ…もうちょっとなんかね?」
ギャリギャリギャリギャリィィィィィッ!!
耳障りな金属音はシーラの一撃とリゼルの触手が接触して摩擦する音だ。
「はじめましてかな?さっきまでの分体とは別のヤツみたいだから一応自己紹介しておくよ?ウチはシーラ・ベルネイア。まあ、自分で言うのもなんだけど特攻隊長だよ」
「雑魚が…お前らごときがリゼルを引きずり出したって事実が心の底から腹立たしいよ」
言いながらリゼルはシーラに向かって触手の連撃を浴びせる…
ゴッズクローンであるリゼルの神格エネルギーは傍目から見えないが、ミグの権能の概念によって強化されたシーラとは比べるまでもない程に劣る…
だが…
「ちっ!?」
リゼルと打ち合う程に追い詰められていくのはシーラの方だった。
その理由は…
「使えない部下共のせいでまだお前らを倒すのに必要な神格エネルギーは確保できていない。けどね?そう簡単に負けることもありえない。この体なら未来予知が使える」
リゼルの一発一発は軽い…
だがそれはシーラを傷つけることができない程ではない。
少しずつ…本当に少しずつだが、シーラは神格エネルギーをすり減らす。
「シーラっ!!突出しすぎだ。一旦退け」
「…長く生きてるもんだね…まさかウチがジオにこんなことを言われる日が来るなんてさ?はいはい、わかったよ」
「一言余計だ」
嫌味?文句?軽口?を言いながらもシーラは徐々に後退をはじめる。
アルムス時代…それこそミグの力で蘇るまでのシーラはジオのことなど友であるミグのオマケぐらいにしか思っていなかった。
ミュラもシーラにとっては変わらない。
無論、その頃のジオやミュラが自分にそんな口を叩こうものなら八つ裂き確定である。
自分やロロ…果てやラルファとかいうラグアの娘までもまとめあげたのは、他でもないミグの人望?
いや、あのバカはウチといっしょで何も考えてないか…
まあ、昔はゴミか敵としか思っていなかったヤツらだけど、最近はこうして馴れ合うのも悪くない気がしてきた。
シーラは少しだけ広角を上げるとそんな事を思った。
シーラはそのままリゼルの猛攻を受け流しながら後退する…




