第943話白と青のグラデーション8
リーゼの指示を受けて第一陣がミュラ達に襲いかかる。
その攻撃パターンは先程とは打って変わって犠牲をもろともしないスタイルだ。
だが、だからこそ攻撃のみにその主軸をおいたそれはより攻撃的なものへと様変わりしている。
その時だ。
ミュラ達の神格エネルギーが一気に増大したのは…
ミュラ達に襲いかかった分体リーゼの指揮下の第一陣は一瞬で物理的にバラバラになる…
「ちっ…想定通りか…どいつもこいつも権能の概念で神格エネルギーが上がっている…」
分体リーゼは呟いた。
その分体リーゼが下した特攻命令に従った第二陣も第一陣のあとを追うように壊滅する。
どうする?
残存戦力まだまだあるけど、どう頑張っても多少の時間稼ぎが限界…
それどころかゴッズクローンの内包神格エネルギーでヤツらを強化しているだけだ。
これ以上やっても…
そこで分体リーゼは妙案…いや、大量の犠牲の上に成り立つこの作戦を妙案と言うかどうかはわからないが、思いつく。
そしてそれを実行するには…
パチンッ!!
分体リーゼは指を鳴らす。
その瞬間、夥しい数の媒介クローンと地雷クローンが現れる…そのあまりの数に一気に神格エネルギーが増大したミュラ達も一瞬たじろぐが…
「まさかここでやけくその特攻とはな…あれが妾達を圧倒したリーゼとは思えん」
「どうやら意識を切り離した分体ですので、お姉様ではないようです。限りなくお姉様に近い思考をする何か…そう思ってください」
シャドウラルファのその返答に最初、分体リーゼのやけくそと判断したミュラはその判断に疑問符を覚える。
限りなくリーゼと同じ思考をする何か…
つまりこの特攻は神格エネルギーを持たないリーゼの最善策ということ…
そしてこの程度の戦力でできることははっきり言って限られる…
つまりこの特攻の目的は時間稼ぎ…
そして、あれが本当にリーゼの思考能力を持っているのなら、意味もない時間稼ぎでいたずらに戦力をすり減らす行為などしないはずだ。
「皆、多少無理をしても構わん。即座に片付けるぞ?おそらく時間をかければマズイ状況になる」
最終的にミュラはそう結論を出すと、手近な媒介クローンに向けて自らも攻撃を開始した。




