第941話白と青のグラデーション6
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「皆固まれっ!!バラけるとその分隙を生む」
分体リーゼのクローン軍団との戦いがはじまった直後、ミュラはジオ達にそう指示を飛ばす。
「初手はとりあえず陣形をを組んで。そこのお前。お前はリーゼの思考と指示の補助に入って」
「はっ」
分体リーゼはゴッズクローンや媒介クローンや地雷クローンにそう指示を飛ばすと、傍にゴッズクローンを配置する。
いくらリーゼの天才的な頭脳があるとはいえ、分体では共鳴の概念はおろか、神通も未来予知も使えやしない。
ゴッズクローンの補助なしでは司令塔の役割は果たせない。
もちろんそのことにはミュラも気づいている。
「相手はリーゼとはいえ、所詮は分体だ。あの相手を小馬鹿にするような鬱陶しい先読みの精度は本体の足元にも及ばん」
ミュラの言葉に他のメンバーは頷く。
だが、分体リーゼはそれに大して不敵な笑みを浮かべる。
「たしかにこの体じゃ共鳴の概念も未来予知も神通すらも使えない。まあ神通だけはゴッズクローンを補助につけることによって解決したけどね?」
分体リーゼはそこで一度言葉を切ってからさらに続ける。
「そう。思考能力はそこまで変わらないけど、思考速度は本体の足元にも及ばないし、ゴッズクローンを通した未来予知じゃ何度も意識を行き来しなきゃならない分、無駄が多いから実用には程遠い。その頃には未来なんか変わっちゃってるからね?未来予知はないものと考えていい。……でもそれだけだ。この体でもお前らの感情は手にとるようにわかるし、あとは純粋な思考能力だけあれば十分に完封できる。リーゼはそう考えているんだよ?」
「ナメやがって…」
「お姉ちゃん、アレ使う?」
歯噛みするジオ…
奥の手を切るかどうかを姉に確認するミュン…
「ジオ、そう熱くなるな。アゼルメーテ様なら一人でもそう易々とやられはしない。そしてミュンのアレはまだ温存すべきだ。できればアレは本体にぶつける。それが妾達でリーゼの本体を倒す唯一の手段だ」
そんなミュラ達のやりとりに分体リーゼは口角を吊り上げる。
「奥の手ねー?感情の起伏からそんなのがあるのは知ってたけど、詳細まではわかんないや。まあそっちは本体ならわかるだろうし対策もしてあるだろうから気にしなくていいや」
ミュンの実力はこの中では最弱だ。
にも関わらず奥の手を持っているのはミュンらしい。
大方予想はつくが、確定ではないし、その予想が正しければ分体である自分にはどうしようもない。
本体に任せるだけだ。
分体リーゼはそんなことを考えるのだった。




