第79話ラグアVSミグ
「キシャーーーーっ」
目の前にいるのは、ミグ・ヒピーだったもの。
既に理性はない。
現在目の前にいるのは、思考能力に乏しい、ただの醜悪なスライムである。
俺は万物の神を発動させた。
使うのは制約。
使う対象はこの空間に対して。
制約の内容は神級に満たないスキル全ての禁止。
中には例外で固有スキルの中には使えるもの、例をあげるなら神格などがあるが、この空間では少なくとも王級、帝級スキルクラスのスキルは完全に使えなくなる。
俺も含めて。
そして、帝級スキルが使えなくなるとどうなるか?
答えは簡単だ。
帝級スキル、地獄帝で生み出されたミグの他の人格は一時的に消滅する。
つまり、精神融合も解ける。
ミグの姿が元の美少女の姿に戻る。
「あれ?あれ?なんで?なんで?あたし意識があるの?てかなんでお前はまだ生きてるの?」
「簡単な話だ。お前は負けて俺が勝ったからだよ。」
ミグはラグアのその一言で全てを悟った。
どんな方法かはわからないが、精神融合の鬼神化を破られたのだ。
つまり、自分は負けたのだ。
「はあー。これでもダメか。完敗だよ。あたし頑張ったんだけどな。あたしの負けだよ。殺しな。」
俺は言う。
「言われなくても殺すわ。帝級スキル持ちは神格エネルギーを吸収できていろいろおいしいしな。」
「キャハハハっ、ホント清々しいぐらいのクソ野郎だね。あたしも大概だけどお前はそれ以上だよ。」
「俺は前世も今もクソ野郎だよ。じゃなきゃ、死刑囚なんかにならねーよ?話は終わったし死ねよ。」
俺は万物の神を発動させる。
使うのはビックバン。
宇宙を誕生させたと言われる超爆発。
今の俺の最大の技だが、俺はこの技を全然使いこなせていない。
威力は本来の威力の100分の1にも満たないだろう。
理由はわかっいる。
俺の神としての格が致命的に足りないのだ。
まあ、いつか使いこなしてやるさ。
「死ね、ビックバン。」
俺は技を発動させる。
この空間に存在できているのは、神格エネルギーを直接ぶつけない限り死なない俺1人のはずだった…。
「なっ!?」
両手に集めた超爆発のエネルギーが唐突に消える。
その直後、亜空間の壁が裂けた。
入ってきたのは禍々しいオーラを持つ金髪、長髪の美青年。
亜空間の裂け目はすぐに塞がった。
「あ?誰だてめえ?今いいとこだろうが。なんだてめえ?なんつータイミングで邪魔しやがる。ヒーローなのか?俺は悪役なのか?あっ、俺悪役だった。」
「ロっロロ様…。」
ミグも目を見開いている。
「悪いな。可愛い家族が殺されそうなんで邪魔させてもらうぜ。このまま黙ってコイツを連れて、引かせてくれるとありがたいんだが?」
「あ?引かせるわけねーだろ?誰だか知らねーが、てめえもそいつもぶち殺してやらあ。」
「あー、自己紹介してなかったな。俺はロロ・ベアトリクス。一応、外で俺の分体と遊んでるテオレームや、くたばったらしいソドムの同期だ。アイツらと一緒にされたくはないがな。」
こうして俺は新たに現れたヒーローことロロ・ベアトリクスと向かい合うのだった。




