八個めっ♪ さあ…どうしよう?
時間かけた割に短めですみません…
「平真、起きて?」(?)
「むぅ…」
俺の覚醒を促す声が聞こえる…ああ、みかんか。しかし、昨日は初バイトをしたせいかとても眠い…
「あと5分…」
「もう…お約束のセリフなんて言ってないで起きてよ!」(?)
「むぅ…」
今日のみかんは激しいな?いつもは起きるまで粘るけど、ここまで激しく揺さぶったりは…仕方ない、ここは…
「ほっぺにおはようのキスしてくれたら起きられるかもしれないな~?」
「ええっ!?し、して欲しいの?」(?)
「そうそう、して欲しいな~?」
みかんは大胆なようで、実はこういう事には初心だからな。れもんと言うライバルを得てちょっと大胆になって来たが…それでも、これは出来まい…悩んでいるうちにもうひと眠り・・・
「し、仕方ないよね?お、起こすためだし…」(?)
ん~?何か言ったか…?
次の瞬間、頬にとても柔らかい感触が触れた。・・・なにっ!?
「な!?みかん、いつの間にそんなに大胆に!?」
ガバッと起き上がって俺の頬に素敵な事をしてくれた相手を見やると…
「・・・みかんじゃなくて残念だったわね?」(れ)
ちょっと不機嫌そうなれもんさんがいましたとさ…何故!?
「な、なんでれもんが俺の部屋に!?」
「もちろん、平真を起こすために決まっているでしょ?あ、ちゃんとお母様の許可を取ったからね?」(れ)
「なんですと!?み、みかんは知っているのか?」
「そのみかんからの申し出よ?みかんは…あくまでフェアな勝負がしたいんだって…普通なら自分の幼馴染と言う優位をいかせるところなのにね…」(れ)
「その辺りの話は…俺からは何とも言い難いな…」
「とにかく!みかんの有難い申し出のお陰で、私とみかんが交互で平真を起こすことになったの!わかった?」(れ)
「わ、分かりました」
「そ、それよりも…さっきの平真の言い方だとみかんはやっぱり…おはようのキスとかしたことないの?」(れ)
「ないな…。みかんからも、俺からもキスは一度もしたことないな。その辺り、あいつは初心だからな…奥さんのつもりだったみたいだが…」
「みかんに悪い事しちゃった…。折角、平真を起こす大役を譲ってもらったと言うのに…恩を仇で返すようなことを・・・」(れ)
ああ…確かにそうなるのか?れもんが何か落ち込んでるな…。いや、待て?俺が寝ぼけてみかんと勘違いしてあんなことを言わなければ起こらなかった事だよな?・・・し、仕方ないからフォローしとこうか…
「気にする事ないだろ?意識してわざとやったことじゃないんだし。それに、そんなことを言ったらもっと不味いことをしてるんじゃないか?」
「唇にキス…あ、あれこそ事故だからわざとじゃないでしょ!でも、今回のは私が意識して…」(れ)
「ああ、驚いたけど素敵な感触だった!なんなら、もう一回してくれてもいいぞ?」
「バ、バカ!平真のバカ!勢いでしちゃったけど、思い返すと恥ずかしいんだからね!!」(れ)
「いたい!いたいっす!俺の部屋の凶器トップ5に入る辞書で殴らないでください!マジで痛いから!!」
「平真がバカな事言うからでしょ!もう…バカなんだから!」(れ)
ふむ…もう一押しか?
「バカついでに…何なら、口の方でもう一回ちゃんとしておくか?」
そう言って、れもんの顎に手をやってみる。イケメンならともかく、俺がやるとただの発情したバカ男だな…。さあ、思いっきりその凶器で殴るがいい!
「へ、平真・・・」(れ)
あ、あれ?何かれもんさんがこっちを見つめてますよ?何か目が潤んでるような…?・・・え!?この流れでそうなるの!?今のは完全に調子に乗ったアホを叩く流れでしょ!?ど、どうする!?い、行った方がいいの?これ…
可愛らしいれもんの顔に引き付けられるように顔を近づけていき、もう少しで唇が触れてしまうと言う所で…
「まさか、朝からそんなことをするほどの仲だったなんて驚きだわ…」(母上)
「「お、お母様!?」」(平&れ)
「・・・れもんちゃんはともかく、バカ息子からそんな呼び方されると虫唾が走るわね」(母上)
「なんだと、ババア!俺の方が言って置いて虫唾が走ったわ!」
「母親に向かってババアとは…いい度胸ね、平真?」(母上)
「うっさいわ!人の部屋を覗き見するような母親など、ババアで十分だ!」
「そう、態度を改める気はないってことね、平真?」(母上)
「どうする気だ?やはり、ご飯抜きとかか?その程度で俺の心を折れるとでも…」
「あれはそう、平真が小学生になったばかりのある日の事」(母上)
「…え?」
「小学生に上がったばかりの平真は、名前が『ゆうしゃの剣』と言うどうみてもおもちゃの剣が載った広告を私みせてこう言ったわ。『俺、将来勇者になるんだ!だから、これ買ってくれたらお母さんも守ってあげるよ!』って、あの頃の平真は可愛かったわねぇ」(母上)
「あの…一体なぜそんな話を突然されているのでしょうか?」
「特に意味はないわよ?突然…そう、突然平真の昔の可愛かった頃の話をしたくなっただけよ?」(母上)
俺ににっこりとほほ笑む母上の笑顔は…俺から見るととても黒かった。昔の素敵な笑顔のお母様に戻って下さい!!
「お母様!私、平真の昔の話をもっと聞きたいです!」(れ)
「お待ちになって!れもんさん!それは言ってはダメなセリフです!!」
「ふふふ、どうしようかしら?今の私って平真の昔の話をとーってもしたい気分なんだけど?」(母上)
そう言われては仕方がない…俺に出来ることは…これしかない!!
「申し訳ございませんでした、母上!私のような愚息が今も素敵な母上に暴言を吐くなど間違っておりました!平に…平にご容赦ください!!」
これしかない!このままでは、さっきの軽いジャブどころじゃない…真っ黒な歴史を赤裸々に語られてしまうのは明白!ならば…プライドなど捨てようではないか!俺は、それが出来る男よ…
「平真…かっこ悪いよ?」(れ)
「分かってるから…黙っていてくれるとありがたいんだが…」
「まあ、バカな息子の暴言に一々腹を立てていたら切りがないからね。許してあげるわよ?とりあえず…朝食を食べながら二人の関係をしっかりと話して貰おうじゃない?」(母上)
「「あ・・・」」(平&れ)
その後、朝食の団欒の場と言う尋問室で俺とれもんは二人にあったあれこれを語りたくないことまで根掘り葉掘り語らされた。さすが母上…未だ超えられぬ壁として俺の前に立ちはだかるようだな…
「なるほどね…まあ、本来ならずっと甲斐甲斐しくこんな愚息の世話を焼いてくれているみかんちゃんを応援するべきなんだろうけど…。私は何より、恋する乙女の味方だからね。だから、れもんちゃん?貴方の平真への想いは伝わって来たから…私は中立でいることにするわ。こんな愚息で良かったら、いつでも持って行っちゃっていいわよ?」(母上)
「本当ですか?お母様!」(れ)
「ええ、私をお母様と迷いなく呼べる度胸と言い…平真には勿体ないほどの娘よね。・・・本当にこれなんかでいいの?」(母上)
「仮にも自分の実の息子を指さして、これ扱いとは…いつか目に物を見せてやるからな!」
「はいはい、良い方に期待しておいてあげるわね」(母上)
「確かに、平真は単純でスケベで変なかっこつけたがりでおバカだけど」(れ)
「ねえ?酷くない?そこまで言わなくても良くない?」
「でも、心の一番大事な部分は真っ直ぐだと思います。だから…私は平真がいいんです。平真でいいんじゃないんです。平真だからいいんです」(れ)
「れもん・・・」
「良い顔をするわね、本当に…。真っ直ぐ恋をしてますって表情だわ。私も若い頃は今のれもんちゃんみたいに恋の炎を燃え上がらせたものだわ…」(母上)
「なるほど、相手を焼死させたわけか」
「中学の頃の平真の話をして欲しいみたいね?」(母上)
「申し訳ございませんでした、母上」
くそう…中学ネタがある限り、母上には勝てる気がしねぇ…
「でも、みかんちゃんは手強いわよ?一人で暴走してる節があったのに、今日会った時はれもんちゃんと同じような表情をしてたもの。毎日ずっと起こしに来てくれてたのに、一日来なかったと思えば乙女の顔をするようになって…本当に、子供の成長は親の予想なんて軽く飛び越えて行くものよね」(母上)
「ふっ、そうだろう?」
「平真のは、斜め上ってやつだったけどね?」(母上)
「本当に愚息で申し訳ございませんでしたね!」
「本当に仲の良い親子なんですね」(れ)
「そうでしょう?」(母上)
「れもん…眼科行った方が良いぞ?」
「平真には、私の愛が伝わっていないのね…悲しいわ」(母上)
「いきなりそんな殊勝な事言われてもな…全然伝わってこないんだが…」
「つまらない反応ね?じゃあ、もういいわ」(母上)
「つまるとかつまらないとかじゃなくない!?と言うか、やるならもうちょっと引っ張ってくれませんかね!?」
「愚息と一緒で飽きっぽいのよ」(母上)
「それなら仕方ない…ってなるか!」
「全く…ノリツッコミだけは上手くなってしまって…芸人になりたいの?」(母上)
「違うわ!アンタに鍛えられたんだよ!アンタに!!」
「餡多?随分甘そうな友達がいるのね?平真ったら」(母上)
「架空の人物を作ってまで回避しないでもらえませんかね!?」
「本当に仲の良い親子」(れ)
「でしょう?」(母上)
「きりがないからもうええわ!」
何で朝からこんなにエキサイトしないといけないんですかねぇ?
「そうね、そろそろみかんちゃんもやって来るだろうし…そうだ、れもんちゃんは学校の後何か用事があったりする?」(母上)
「え?今日は特に…強いて言えば、またみかんに料理を教えてもらおうかと…」(れ)
「それなら、みかんちゃんと二人でうちに来ない?夕飯をご馳走するわ。旦那が単身赴任中で寂しいのよ」(母上)
「目の前の息子と二人では不満だと申すか?」
「だって、平真ったら食事中は話し掛けても相槌を適当に打つだけじゃない?」(母上)
「アンタの相手をまともにしてると食事が進まないからだろ!?こっちが食べようとしてるのに際限なく話しかけてきやがるし!」
「それだけ息子の様子が気になるのよ?ただの親の愛情を何で受け入れてくれないのかしら?」(母上)
「食事終わった後に相手してやってるよね!?30分は付き合ってるのに何て言い草!?」
「恩着せがましいわよ?平真ったら…。女性に対してそんな態度じゃモテないわよ?れもんちゃんもそう思わない?」(母上)
「え?えっと…私としてはモテなくてもいいかな?って・・・」(れ)
「あら?聞いた、平真?あんた、モテないように頑張りなさい?」(母上)
「舌の根の乾かぬうちにってやつだよね!?元々モテませんから?全然大丈夫ですよ!チクショー!!」
「あんたね…れもんちゃんとみかんちゃんにこれだけ想われておいてそれはないんじゃないの?」(母上)
「いや、その二人が奇跡なだけだろ?他の娘に言い寄られるなんてことは…あ・・・」
やっべ…朝からのれもんによる襲撃ですっかり忘れていたけど、いちごの件があるじゃないか…。しかも、ご両親から許嫁を押し付けられてた…。まて?連絡先とか住所とか粗方聞き出されたぞ?・・・あのアクティブないちごだから、もしかすると学校に押しかけて来たり…しないよな…?そんな感じで内心冷や汗をかいていると…
「平真?何か隠してるわね?きりきり白状しなさい!」(母上)
「平真…何か隠し事してる?」(れ)
ほぼ同時に俺の事を疑ってきましたよ!?やばい…とりあえず、整理する時間が欲しいから…逃げるしかないな!
「そ、それよりもみかんが迎えに来るんだろ?そう言うのは今日の夜でいいじゃないか!」
「なるほどね、心の整理する時間が必要なほど重要な事なのね?いいでしょう、夜は覚悟しておきなさい?」(母上)
「そう言う事なら…夜までは聞くのを我慢してあげるけど…絶対に教えてよ?」(れ)
「はい…全部話しますとも…」
やばいな…小学生に言い寄られて家まで送ったら両親に許嫁認定されたなんて…話したらどうなるんだ?・・・下手に誤魔化すと墓穴を掘る事になりそうだし…やばいな・・・
その後、学校までの両手に華の幸せタイム中もいちごとの事をどう話そうかと考えこんでしまい、いまいち幸せに浸れなかった。もちろん、ふとした拍子にムニっときてにやけてしまったりはしたけど…仕方ないだろ?
そして、教室に着いた時やっと思い至った事が…親友二人が話してしまう可能性があると言う事。・・・どうしよう?
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次回からはもっと短くても毎日更新でいきます。始めた当初はその予定だったので…しばらくそれでやってみます。
毎日21時更新で…いけるところまで頑張ります!変な切り方だったとしてもお見逃し下さい…。
次話もよろしくお願いします。